顧客第一はどこへ? 広告に目がくらんだAmazonが直面する、ブランド崩壊リスク:がっかりしないDX 小売業の新時代(2/2 ページ)
任天堂がAmazonへのSwitch 2供給を停止した背景には、リテールメディア依存による弊害がある。広告収入を重視するあまり、Amazonは顧客体験やブランド信頼を損ないつつあり、本質的な課題が浮き彫りになっている。
真の顧客第一主義へ Amazonはもう一度立ち返れるか
Amazonの公式サイトには今も次のように書かれています。
Amazonは4つの理念を指針としています。お客様を起点にすること、創造への情熱、優れた運営へのこだわり、そして長期的な発想です。Amazonは、地球上で最もお客様を大切にする企業、そして地球上で最高の雇用主となり、地球上で最も安全な職場を提供することを目指しています。
この言葉の後に、それを実現するサービスとして、
カスタマーレビュー、1-Click注文、パーソナライズされたおすすめ商品機能、Amazonプライム、フルフィルメント by Amazon(FBA)、アマゾン ウェブ サービス(AWS)、Kindle ダイレクト・パブリッシング、Kindle、Career Choice、Fire タブレット、Fire TV、Amazon Echo、Alexa、Just Walk Out technology、Amazon Studios、The Climate Pledgeなどは、Amazonが先駆けて提供している商品やサービス、取り組みです。
――と書かれています。ここに広告収入を事業目的とすることは書かれていません。あくまでもサイドビジネスなのです。
リテールメディアは確かにAmazonにおける重要な収益源となりました。しかし、それが本業の価値を毀損するようでは本末転倒です。Amazonは今一度、自社のミッションを見つめ直す時期に来ているのではないでしょうか。
短期的な広告収入と引き換えに、長期的な顧客と任天堂のような優良なブランドパートナーの信頼を失うことの代償は計り知れません。任天堂との一件は、その警鐘と捉えるべきでしょう。真の「顧客第一主義」とは、広告主ではなく、購入者の利益を最優先することに他なりません。
デジタル変革の本質は、テクノロジーを活用して顧客価値を最大化することです。広告プラットフォームとしての成功が、ECプラットフォームとしての価値を損なうようでは、それは変革ではなく退化と言わざるを得ません。
Amazonがこのジレンマをどう解決し、再び「地球上で最もお客様を大切にする企業」へと回帰できるのか。それに時間がかかるようであれば、代わりの信頼できるプラットフォームに逆転されることもあるでしょう。
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