コラム
えっ、QUICPayが伸びてる? カード撤退ラッシュの裏で取扱高20%増の真実:「ポイント経済圏」定点観測(3/6 ページ)
QUICPayの撤退は、衰退ではなかった……。スマホ決済が主流となるなか、あえてプラスチックカードから手を引くことで、着実な成長を目指している。
数字が示す着実な成長
JCBは今年3月7日に会員数が3000万人を突破したことを発表したが、今回の取材時にはすでに3156万人に達していた。利用可能端末数も303万台に達し、着実に拡大を続けている。
QUICPayが利用できる決済端末数の推移を示すグラフ。2005年のサービス開始から2025年1月時点で300万台を突破。端末台数は利用可能店舗数とほぼ同義であり、QUICPayの加盟店ネットワークの拡大を表している
ただ、ここで重要なのは利用実態の向上だ。会員数が16%増、端末台数が14%増という中で、「取扱高は前年比20%強のペースで伸びている」(中村次長)。これは1人当たりの利用額が約5%増加していることを意味し、既存会員の活用度が高まっていることを示している。
QUICPay会員数の推移を示すグラフ。2005年のサービス開始から2025年1月時点で3084万人に到達し、現在は3156万人を突破。この数字は「券ベース」で算出されているため、一人が複数のカードやデバイスでQUICPayを利用している場合、重複してカウントされている
この3156万人という数字の意味は大きい。日本のクレジットカード発行総数が約3億枚とされる中で、QUICPayはその約1割に相当する決済手段を提供している。また、利用者数が7000万人に達するPayPayをはじめとするQRコード決済の猛威にさらされながらも、過去3年強で約1000万人増やしている。Suicaの発行枚数である約9000万枚には及ばないものの、相当な規模の電子マネーに成長しているのである。
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