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えっ、QUICPayが伸びてる? カード撤退ラッシュの裏で取扱高20%増の真実「ポイント経済圏」定点観測(6/6 ページ)

QUICPayの撤退は、衰退ではなかった……。スマホ決済が主流となるなか、あえてプラスチックカードから手を引くことで、着実な成長を目指している。

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着実な成長という、現実的な着地点

 グローバル標準ではないという制約を抱えながらも、QUICPayは独自の生存戦略を描いている。「市場の主役」を目指すのではなく、国内ユーザーの利便性を支える「補完的役割」に徹することで、安定成長を維持するという戦略だ。


今回話を聞いたJCBブランド事業統括部門 モバイル・バリューペイメント部の方々。左から土居喬次長、松本友美副主事、中村満隆次長、杉山千晴主任(筆者撮影)

 そのためには、モバイル決済への集中が最も重要だ。プラスチックカードからの撤退を逆手に取り、スマホでの利用体験向上に注力するという戦略は、すでに利用頻度と単価の両面で成果を上げている。

 新たなパートナーシップの拡大も継続中だ。ドン・キホーテの電子マネー「majica」がQUICPay対応を開始するなど、クローズドだったプリペイドサービスがオープンになる際の移行先としての役割も担っている。

 「衰退」ではなく「共存」という現実的な着地点を見つけたQUICPayは、タッチ決済が使えない場面や国内専用サービスとの連携が必要な際の受け皿として、モバイル決済市場の一角で存在感を維持し続けている。

 日本独自の技術という宿命を受け入れながらも、着実な成長を続けていく道筋を描いているのである。

筆者プロフィール:斎藤健二

金融・Fintechジャーナリスト。2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社にて複数媒体の創刊編集長を務めたほか、ビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わる。2023年に独立し、ネット証券やネット銀行、仮想通貨業界などのネット金融のほか、Fintech業界の取材を続けている。


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