2015年7月27日以前の記事
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ファミマ、AIが発注を最適化→週6時間の業務削減 「勘と経験」頼みをどう脱却した?(3/4 ページ)

店舗スタッフの経験と勘による判断に頼るコンビニの発注作業には、さまざまな課題がある。こうした課題に対し、ファミリーマートは生成AIが最適な発注数を自動で提案するシステム「AIレコメンド発注」の運用を開始。同社に開発の経緯や導入後の成果を聞いた。

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コンビニ業界の長年の課題も解決

 AIレコメンド発注の強みは、人間では処理不可能な膨大なデータを瞬時に分析する能力だ。システムが分析するデータは過去1年間の販売実績はもちろん、店舗周辺の通行量、気象データ、カレンダー情報など多岐にわたる。

 さらに、個店ごとの特性も考慮する。「駅前の店舗と住宅街の店舗では、同じ天候でも売れるものが違います。AIは過去1年分のデータから、『この店舗で、この天候で、この時間帯なら、何がどれだけ売れたか』を瞬時に割り出します。人間では、何時間かけてもなかなか分析しきれない量のデータです」(村井氏)

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AIレコメンド発注 利用イメージ(プレスリリースより引用)

 AIレコメンド発注には、ユニークな機能がある。自店舗と立地環境が似ており、かつ利益額が高い店舗の販売実績を参照し、自店にない売れ筋商品をレコメンドする「お手本店」機能だ。この機能を実装した背景には、コンビニ業界における長年の課題があった。「コンビニでは、基本的には自店のことしか分かりません。隣の店で何が売れているか、どんな新商品を置いているか、知る術がありませんでした」(村井氏)

 これまでは、本部のスーパーバイザーが店舗を巡回。「近隣の店舗では、この商品が売れてますよ」といった情報を地道に展開していた。しかし、スーパーバイザーは数店舗を担当しているため、発注の度に立ち会うわけにもいかなかった。

 もっと、気軽に他店舗の状況が知れたら。そこで生まれたのが「お手本店」機能だ。「AIが、瞬時に自店と似たような数店舗をピックアップします。そこの売れ筋商品で自店にまだ置いていないものがあれば、レコメンドしてくれる仕組みです」(村井氏)

 「お手本店」機能を含む、AIレコメンド発注の予測提案を活用するかどうかは、各店舗に任されている。活用する場合も、全ての予測を受け入れる必要はない。店舗側は「意思入れ」と呼ばれる方法で、AIの推奨値を修正することも可能だ。「例えば、新商品など過去データがない商品は、類似商品のデータを基に予測しますが、店舗の判断で調整できるようにしています」(村井氏)。実際は多くの店舗が積極的に予測データを活用しており、店舗スタッフからの信頼度も高いという。

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多くの店舗が積極的に予測データを活用(プレスリリースより引用)

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