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ファミマ、AIが発注を最適化→週6時間の業務削減 「勘と経験」頼みをどう脱却した?(2/4 ページ)
店舗スタッフの経験と勘による判断に頼るコンビニの発注作業には、さまざまな課題がある。こうした課題に対し、ファミリーマートは生成AIが最適な発注数を自動で提案するシステム「AIレコメンド発注」の運用を開始。同社に開発の経緯や導入後の成果を聞いた。
開発期間は4年以上
ファミリーマートが発注業務におけるAI活用に着手したのは2021年。開発には実に4年以上の歳月を要したという。村井氏は「まず、どのデータを使えばいいのか、その選定で悩みました」と当時を振り返る。「売り上げデータだけでは不十分です。天候データを入れるにしても、気温だけでいいのか、湿度も必要か、風速は関係するのか。それらをどう組み合わせて数式にするか、何度も頭を抱えました」(村井氏)
さらに、これまで店舗スタッフの経験値に頼ってきた判断を、AIに学習させるがゆえの難しさもあった。「店舗スタッフが考えてきた領域を、AIがほぼカバーできるまで、何度も試行錯誤を重ねました。4年かけてようやくレコメンドできる仕組みが確立されたのです」(村井氏)
現在、AIレコメンド発注の対象は、おむすびや弁当、すし、菓子パン、総菜パンといった「中食カテゴリー」に限定されている。中食から始めた理由について、村井氏は「中食以外では、発注システムが既に存在しているからです」と説明する。将来的にはデザートやサラダ、総菜カテゴリーへの拡大も視野に入れているそうだ。
では、AIレコメンド発注は、どのような仕組みで高精度な予測を実現しているのだろうか。
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