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転売ヤーに奪われる「ハッピーセット」問題 マクドナルドはどう解決すべきかスピン経済の歩き方(7/7 ページ)

限定ポケモンカードの配布により炎上しているマクドナルドのハッピーセット。転売ヤーだけでなく同社にも批判が集まっているが、そもそもどのような対応を取るべきだったのか。ハッピーセットのおもちゃに込めた本来の目的を考えると……。

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ハッピーセットのおもちゃがつくられた本来の目的

 それは「ドナルド・マクドナルド・ハウス」だ。

 店内にポスターが掲示されていることもあり、ご存じの方も多いだろうが、これは、自宅から遠く離れた病院に入院または通院している子どもとその家族のために、「わが家のようにくつろげる第二の家」をコンセプトとしてつくられた滞在施設である。1974年に米国で始まった取り組みで、2023年6月現在、全世界で約380カ所開設されている。


ドナルド・マクドナルド・ハウス(出典:公式Webサイト)

 マクドナルドは、こうした「子どもと家族の幸せを支える」活動に力を入れている。そして、その目的のもとにつくっているのが、ハッピーセットのおもちゃなのだ。

 そういう目的のものが転売ヤーやコレクターたちに大量に買い占められた結果、子どもたちのところに届かず、悲しみを生んでいるような事態を「放置」しているのは、同社がこれまでやってきたことを全否定するような致命的な矛盾である。

 全店舗禁煙を決めたときも、愛煙家たちからは「もう行きません、さようなら」とボロカスに叩かれたが、マクドナルドの本来の顧客であるファミリー層からは拍手喝采だった。この層を裏切らなかったことが、今のマクドナルドの繁栄につながっている。

 今回の不幸な事態を受けて、日本マクドナルドは公式Webサイトでこう述べている。

当社では「未来を担う子供たちの心と体の健全な成長や発達に貢献することで、家族が笑顔で過ごせるお手伝いをする」というハッピーセットの原点に立ち戻り、いまいちど各種施策を見直してまいります。

 この言葉通り、転売ヤーやコレクターから憎まれても、子どもたちがハッピーになるような経営判断を期待したい。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受


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