コクヨ「大人のやる気ペン」が人気 約1万円でも売れる“共感の理由”(3/5 ページ)
コクヨが発売した「大人のやる気ペン」に注目が集まっている。マクアケで約3500万円の応援購入が集まり、その後も売れている。ニッチな高額製品なのに、なぜ人気なのか。
学習する大人の「孤独」に寄り添う
「大人のやる気ペン」は、子ども向けよりも約60%軽量化した8グラムで、従来の鉛筆だけでなく、さまざまな筆記用具に取り付けられるよう設計した。体験設計も大人向けに変えているものの、コアとなる製品価値は変わらない。日常で感じるごく小さな動機付け「マイクロモチベーション」の誘発だ。
「学習の習慣化には『自己効力感』が重要だと言われますが、それは学習を一定継続して、ようやく得られる感覚だと思います。やる気ペンは、成長実感を得られる前段階の小さなやる気を引き出すことをサポートする製品と位置付けています」
同製品をペンに取り付けて文字などを書くと、そのボリュームに合わせてライトの色が白からピンクまで10段階で変化する。学習が終了したらアプリにデータを転送。すると、学習量がグラフやカレンダーに可視化されたり、一週間の学習傾向に応じて叱咤激励のメッセージが届いたりする。
さらに、学習量に応じて進めていく「すごろく」では、学びの旅の相棒として存在する亀のアバター(やる気ポット族)の着せ替えアイテムを取得できる。また、ポット族の仲間に出会うことがあり、これは同製品を使用している他の利用者のアバターとなる。
「学習量の可視化も重要ですが、多くの利用者がモチベーションにつながると話しているのは、仲間に出会った時にもらえる『ナカマカード』です。カードには、勉強する理由や勉強のコツ、かなえたい夢などが書かれていて、『どこかに自分と同じようにがんばっている人がいるんだな』と思えるのが、やる気につながるそうです。SNSのような双方向のコミュニケーションではなく、これぐらいの距離感が心地良いようです」
「カフェなどで勉強している感覚に近いのかもしれない」と中井氏。確かに、誰かが勉強している様子が見えると孤独感が軽減され、やる気の維持につながる人は一定存在するだろう。
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