“迷宮化”が進む新宿駅 人々がまともに歩けるのはいつなのか(3/3 ページ)
行くたびに導線が変わるほど、長期間にわたって工事が行われている新宿駅。その完成はいつになる予定で、どんな姿になるのだろうか?
縦と横の動線の整備が最終目標
もちろん、再整備の対象となるのは西口エリアにとどまらない。「新宿グランドターミナル」計画は、地上から地下まで新宿駅全体を生まれ変わらせる取り組みである。
最も重視されているのが、「人の動線」の改善だ。縦横にスムーズな移動を実現し、地上・地下ともに東西方向の移動がより便利になるよう設計されている。加えて、地下では鉄道各線の乗り換えが、現在よりも格段にスムーズに行えるよう計画が進められている。
また、地上デッキの整備により、JR・小田急・京王の乗り換えが格段に容易になる。JRと小田急はデッキ階に新たな改札を設け、京王も現在地下2階にあるホームを北側へ移し、同じく改札を新設する計画だ。このホーム移転と改札新設によって、東京メトロ丸ノ内線方面への接続が便利になるほか、都営大江戸線の新宿西口駅や西武新宿駅との乗り換えもスムーズになる。
このように、新宿駅周辺の各エリアに複数の動線が整備されることで、東西方向の行き来や各路線間の乗り換えが、これまで以上に快適になる。
しかし、完成は2040年代……
新宿駅西口エリアの工事は、2029年度に完了する予定だ。そのころには、西口エリアの複雑な導線も大きく改善されている見込みである。東西を結ぶデッキや駅前広場の一部は2035年度に完成する計画となっている。
一方で、新宿駅周辺地区の土地区画整理事業が完了するのは約20年後の2046年度とされており、百貨店をはじめとする建物の建て替えも2040年代にかけて段階的に行われる見通しだ。
つまり、西口エリアについては数年の辛抱で利便性が高まるが、駅全体の完成までにはまだ時間がかかる。工期が遅れる可能性も報じられていることから、新宿駅全体の動線が完全に整理されるのは、相当先になりそうだ。
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