メガバンクが仕掛ける「ポイント経済圏」競争 預金獲得の新戦略(1/2 ページ)
3メガバンクグループが、ポイントを付与することで顧客を囲い込む「ポイント経済圏」戦略を加速している。
3メガバンクグループが、ポイントを付与することで顧客を囲い込む「ポイント経済圏」戦略を加速している。グループの垣根を越えた提携で経済圏を拡大したり、小売店と組んでポイント還元率の高さをアピールしたりして工夫を凝らす。日銀の利上げで「金利のある世界」に戻る中、貸し出しの元手となる預金の獲得につなげる狙いがある。
グループ垣根越えや小売り連携
「経済圏は今、顧客へのプロモーションツールになっている」。メガバンク幹部はこう指摘する。
野村総合研究所の推計では、民間企業によるポイント発行額は航空会社のマイレージサービスを含めて2023年度の1兆2887億円から、28年度に1兆6259億円に広がる見通しだ。キャッシュレス決済の普及が後押ししている。
最近目立つのが、金融グループの垣根を超えたポイント経済圏の拡大だ。
みずほフィナンシャルグループは楽天グループと提携し、ポイント還元率が高いクレジットカードの「みずほ楽天カード」を発行した。
三井住友フィナンシャルグループは決済アプリのPayPayと連携し、ポイントの相互交換を可能にする「大連立」ともいえる戦略を打ち出した。金融アプリ「Olive(オリーブ)」を使って他サービスとのさらなる連携を模索する方針だ。
傘下の三井住友カードの伊藤亮佑執行役員は、多様なサービスを使い分ける顧客を囲い込むのは「ユーザー目線ではない」と主張する。他社との連携によって顧客を獲得するメリットの方が大きいという。
一方、三菱UFJフィナンシャル・グループは“自前主義”を貫く。亀沢宏規社長は「金融機能は自社で持つが、小売りなど自社で持てないところは他社と組めばいい」と割り切る。
6月に導入した金融サービス「エムット」を活用して小売店などと連携し、自社のクレジットカードでたまるポイントを大幅に引き上げるなどの戦略をとる。26年度はエムット経由で100万件の新規口座開設の獲得を狙っている。
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
関連記事
三井住友カードのクレカ投信積立で“大改悪” 5大ポイント経済圏の最新動向
企業が発行するポイントが消費活動に欠かせないものになってきた。多くのユーザーが「ポイ活」にチカラを入れているようだが、企業側はどのような囲い込みを図っているのか。最新動向をまとめてみた。
えっ、QUICPayが伸びてる? カード撤退ラッシュの裏で取扱高20%増の真実
QUICPayの撤退は、衰退ではなかった……。スマホ決済が主流となるなか、あえてプラスチックカードから手を引くことで、着実な成長を目指している。
