企業の半数以上が「正社員不足」 3年連続で
帝国データバンクの調査で、正社員の人手不足割合は2025年7月時点で50.8%と3年連続で半数を超えた。建設や運輸などで深刻化する一方、飲食・宿泊業ではスポットワーク普及などで改善が見られる。
帝国データバンクが「雇用過不足」に関する調査を実施したところ、正社員の人手不足を感じている企業の割合は2025年7月時点で50.8%となり、半数を超えた。7月としては3年連続で半数を上回った。前年同月(2024年7月51.0%)から0.2ポイント低下したものの、人手不足は「高止まり」状態が続いている。
非正社員における人手不足割合は28.7%で、前年同月から0.1ポイント低下した。2年連続で3割を下回ったものの、依然として高水準で推移している。
業種別に正社員の人手不足割合をみると、最多は「建設」で68.1%だった。企業からは「人手不足が原因で契約が不成立となるケースが増えてきている。求人は進めているが今後が心配」(冷暖房設備工事、北海道)といった声が挙がっている。
「残業規制で社員の労働時間が減ったうえ、猛暑によって作業効率が悪化している」(塗装工事、山梨県)との声もある。帝国データバンクは「猛暑による作業制限や熱中症対策の義務化に伴う作業手順の見直しが、人手不足感に影響を及ぼしている」と分析している。
このほか、生成AIなどIT投資需要の高い「情報サービス」(67.6%、前年同月比4.3ポイント減)、慢性的な人手不足を背景に倒産が増加している「メンテナンス・警備・検査」(66.7%、同0.8ポイント増)、ドライバー不足が深刻な「運輸・倉庫」(63.9%、同0.5ポイント増)を含め、6業種で正社員の人手不足割合が6割を超えた。
非正社員の不足動向
非正社員では「人材派遣・紹介」が63.3%(同4.7ポイント増)で最多となった。人手不足が深刻化する中、派遣人材によって労働力を補う動きが強まっている。
これまで人手不足が目立っていた「飲食店」や「旅館・ホテル」では、非正社員の就業者数がコロナ禍以前の水準に回復。近年、DX化やスポットワークの普及が進み、人手不足割合は大きく低下した。帝国データバンクは「スポットワークは小売・サービス業を中心に広がっており、人手不足解消に向けてプラス材料となるだろう」と分析している。
本調査は、全国2万6196社を対象に実施。有効回答企業は1万626社(回答率40.6%)で、調査期間は7月17〜31日、インターネットで実施した。
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