残業時間が月50時間→5時間に シャツメーカーが脱・タイムカードの先に見据えるもの(4/5 ページ)
紙のタイムカードによる手作業での勤怠管理に、限界を感じる企業は多い。そんな中、日本製シャツを製造・販売するメーカーズシャツ鎌倉(神奈川県鎌倉市)は、勤怠管理のデジタル化に踏み切り、業務削減を実現した。同社にデジタル化の道のりと成果について聞いた。
AI時代でも、人間にしかできない価値提供がある
勤怠管理の効率化により生まれた時間的余裕を活用し、同社はAI活用という次のステップに進んでいる。現在、全社的にGoogle Workspaceを活用しており、社員がGeminiの有料版が使える環境を整えた。
多くの社員がメールの添削や返信案の作成、社内文書の添削で活用する中、一部のスタッフはより高度な活用を進めている。GeminiとGAS(Google Apps Script)を使い、自主的に社内アプリを開発する社員もいるそうだ。具体的な事例としては、社員購入制度の自動化が挙げられる。従来は書面による申請手続きが必要だったが、GeminiとGASを活用してPOSレジから自動的に購入情報を吸い上げ、給与に反映できるシステムを社員の一人が構築した。
一方で、人事部長も兼任する立場から、大出氏はAIと人間の役割について明確な線引きをしている。「人事の仕事は、表情や仕草から人の感情を読むことも重要です。これは、AIにはまだできないことだと思います。AIは正解を示すことはできます。でも、人間は感情的に腹落ちしないと、正解だと分かっていてもなかなか行動できませんからね」(大出氏)
特に同社のようなアパレル業界における顧客接点では、人間にしかできない価値提供があると考えている。「ECサイトでは欲しいものをすぐ買えますが、潜在ニーズをヒアリングしてお客さまの想像を超える提案をするのは、やはり販売スタッフでないとできません。着こなしという分野では、まだまだAIに負けないと考えています」(大出氏)
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