「うちの会社は大丈夫」では危ない 急増するコンプラ違反倒産をどう回避する?(4/4 ページ)
コンプライアンス違反がきっかけとなる倒産が増えています。コンプライアンス違反による倒産を回避するには、さまざまな法令リスクを把握することが重要です。今回は社会保険労務士である筆者が、助成金・補助金申請と障害者雇用代行業者を利用する際のリスクと留意点を解説します。
大切なのは価格転嫁できること
今後は最低賃金の引き上げに伴う人件費の増大や材料費の高騰などにより、収益が悪化する企業が増えると思われます。そうした企業にとって国からもらえる助成金や補助金は非常に魅力的に映るでしょう。できれば障害者雇用給付金の支払いから免れたいと考えることもあるかもしれません。こうした中で、代行業者の提案に乗ってみる気持ちも理解できますが、一度、業者の提案する内容が法令に添っているものなのか、冷静に考えてみましょう。
コンプラインス意識を高める研修を実施したり、相談窓口を設置したりする必要もあります。ただし法令順守という気持ちだけでは、不正を防げません。人件費や材料費の高騰について、取引先などに価格転嫁できる仕組み作りも大切となるように思われます。
著者プロフィール
佐藤敦規(さとう あつのり)
社会保険労務士。中央大学文学部卒。50歳目前で社会保険労務士試験に挑戦し合格。三井住友海上あいおい生命保険を経て、現在では社会保険労務士として活動。法人企業の助成金の申請代行や賃金制度の作成に携わっている。 社会保険労務士としての活動以外にも、セミナー活動や、「週刊現代」「マネー現代」「プレジデント」などの週刊誌やウェブメディアの記事を執筆。 著書に、『45歳以上の「普通のサラリーマン」が何が起きても70歳まで稼ぎ続けられる方法』(日本能率協会マネジメントセンター)、『リスクゼロでかしこく得する 地味なお金の増やし方』『おじさんは、地味な資格で稼いでく。』(以上、クロスメディア・パブリッシング)などがある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
【法改正】10月から「育児・介護休業法」が変わる 企業がすべき対策は? 社労士が解説
育児・介護休業法の改正により、10月1日から企業には「子どもの年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置」の実施が義務付けられます。法改正の背景やどんな準備を進めればよいか、社会保険労務士が解説します。
リファラル採用で紹介者に「報酬100万円」はアリ? 法律違反を避けるための要点
中途採用の方法として、リファラル採用を導入する企業が増えています。そこで今回は、リファラル採用のメリットと導入する上での留意点を社労士が解説します。
「1on1をすれば大丈夫」は間違い 若手の心理的安全性を高める“3つの説明”
新入社員や中途採用社員の定着率を高めるためには、心理的安全性を高めることが重要だといわれています。企業は心理的安全性を高めるため、苦心しているように見受けられますが、見落とされがちなことについて社会保険労務士の立場から解説します。
「公益通報」と「ハラスメント」、企業は相談窓口を分けるべき 線引きの理由を解説
兵庫県やフジテレビなどの問題を通じて、注目が集まる公益通報者保護制度。3月4日には、公益通報者保護法の一部を改正する法案が閣議決定され、1年半以内に施行されることになりました。法改正の概要やハラスメント対策との違いについて解説します。