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セブンがぶち上げた「1000店舗増」計画は実現するのか “勝算”の背景を探る長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)

コンビニ1位のセブンが、今後国内で1000店舗を増やす計画をぶち上げた。果たして実現するのか。

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実はまだまだ「出店余地」はある

 セブンに限ったことではないが、今回の大阪万博に行った人の多くは、あらためてコンビニの利便性や安心感を知ったのではないか。会場内のコンビニでは、各国・各企業のパビリオンの展示がしのぎを削る、一種の祝祭空間の中、いつもと変わらない値段、内容で弁当、おにぎり、総菜パン、飲料水、日用雑貨を売っている。高価なレストランが並ぶ中、かつてより値段が上がったとはいえ、コンビニの食品の価格は、万博会場内では別世界の安さだ。


万博会場内で営業するセブン(撮影:筆者)

 雨が降れば、雨具を持っていなくてもビニール傘を売っているし、ちょっとしたお土産も売っている。大都会のど真ん中でも、地方のロードサイドでも、コンビニの基本的な商品は変わらない。家賃が高い東京の中心部のビルに入居するレストランで、1000円以下の定食メニューを探すのは困難だ。できるだけ安価に食事を済ませたいときには、コンビニはとても頼りになる。

 しかも、深夜、早朝、ランチとディナーの間のアイドルタイムでも、コンビニは開いている。地方のコンビニでは、ニーズに合わせて生鮮食品も一部置くなど、スーパーの代用になる「よろずや」として機能するだけでなく、新商品を通じてトレンドを把握できるメディアとしての役割も果たしている。

 このようにコンビニの社会的機能を考えていくと、近隣にコンビニを欲している人々が数多く存在しているのではないだろうか。

 例えば、商店街が衰退してしまっただけでなく高齢化が進む都市の団地。そして、地方にはコンビニすらないエリアが多く残されている。車で5〜10分も走れば、コンビニにたどり着ける場合も多いが、いちいち何をするにも車が頼りでは、やはり不便だ。都内にある有名な団地でも、コンビニが敷地内にないといったケースもある。

 数少ないが、東京のウォーターフロントのように、人口の急増に対して商店数が足りていない地域もある。田町と品川の中間辺りの位置する芝浦海岸通りには、比較的新しい企業のビル、マンションが連なっているが、点在するコンビニくらいしか目ぼしい商店がない。コンビニも含めて商店、飲食店がもう少し増え、商品アイテムも広げてくれないと、日常を過ごすには不便だ。

 このような出店可能な地域を細かく拾い、店舗のリロケーションを進めると、各社が見落としている場所は意外と多く、かなりの出店余地があると考えられる。

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