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セブンがぶち上げた「1000店舗増」計画は実現するのか “勝算”の背景を探る長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)

コンビニ1位のセブンが、今後国内で1000店舗を増やす計画をぶち上げた。果たして実現するのか。

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値上げと反比例に、国民は貧しくなっている

 コンビニ主要3社の1店舗当たり平均日販(2025年2月期)は、セブンが69.2万円、ファミマが57.3万円、ローソンが57.4万円だ。近年はセブンの販売力が低下し、ファミマとローソンに詰められているが、まだ10万円以上の開きがある。そこに気の緩みというか、慢心があったから、上げ底弁当と揶揄(やゆ)される商品など悪手を打ってしまい、ヘビーユーザーの怒りを買ってしまった。

 経営陣としてみれば、世界の穀倉地帯であるロシア・ウクライナ戦争が始まったことによる、小麦、大豆、食用油、家畜の飼料高騰による原材料の値上がりは想定外だろう。米の急激な価格高騰、海苔やコーヒー豆の不作による価格高騰も、頭の痛いところだ。人手不足で人件費や輸送費も上がっており、値上げはやむを得ない。

 ところが厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によれば、6月の実質賃金は、前年同月比1.3%減で、6カ月連続のマイナスとなっている。コロナ禍から経済が正常化していく過程にありながら、国民は一貫して貧しくなり続けている。使える金額が減っているから、生活に密着したコンビニの値上げが骨身にしみるのだ。

 値下げの施策として、ローソンでは従来価格のまま増量をする「盛りすぎチャレンジ」なる一連のキャンペーンを敢行。ファミリーマートでも「お値段そのまま デカくてうまい!!ざっくり40%増量作戦」を行うなど、安価でたくさん食べたい、コンビニの男性ヘビーユーザー向けの企画を適時、効果的に投入した。

 こうした流れにセブンは遅れた。ファミリーマートやローソンが値段据え置きで4割、5割増量しているときに、上げ底弁当では、ブランドが棄損(きそん)するのも当然だろう。


8月18〜31日、一部の「セブンプレミアム」や「セブンプレミアムゴールド」商品を15%引きにするセールを実施(出所:同社公式Webサイト)

 もちろんセブンも2024年末に、比較的安価で買える商品を「うれしい値!」のロゴやシールを付けて売り始めた。直近では8月18〜31日の期間限定で、一部の「セブンプレミアム」や「セブンプレミアムゴールド」の商品を15%引きにするセールを実施している。

 このような企画は、これまでリーチしていなかった顧客を振り向かせる機会創出になるので、継続する意義がある。

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