「買わなかった顧客の声」にヒントあり 革製品ブランドが見つけた、新規顧客獲得の鍵:テストマーケティングから見るプロダクトの近未来(1/2 ページ)
新規顧客獲得のために「買わなかった顧客の声」に耳を傾けた企業がある。その企業はどのように「声」を集め、製品に反映させたのか。
テストマーケティングから見るプロダクトの近未来
企業の新商品・サービスの挑戦を支援するプラットフォーム、Makuake。ここでは日夜、新たなコンセプトを持った商品が企画され、ユーザーの厳しい目にさらされている。多くの支持を集めた商品にはどのような特徴があるのか。本連載では既に終了したプロジェクトを振り返り、成功の要因からプロダクト開発の近未来を探る。
新商品を次々と投入しているにもかかわらず、売り上げが思うように伸びない。これは多くの企業が直面する課題です。その背後には、リピーターを強化すべきか、新規顧客の獲得に注力すべきかという悩みもあります。
将来的な売り上げ拡大を考えれば、新規顧客の獲得は必須でしょう。ただ、それを実現するためには、これまで一度も購入していない層へアプローチする必要があります。彼らが何を考え、どのように意思決定しているのかを想像するのは難しく、机上の空論に陥りがちです。
そんな中、ある革製品ブランドが注目したのは「買わなかった顧客の声」でした。
大阪を拠点に革製品を手がける新進工房は、この「声」に耳を傾けたことで、これまで平均500万〜1000万円ほどだったMakuakeでの応援購入金額を、2000万円を超える金額へと大きく伸ばすことに成功しています。
応援購入金額が2700万円を超えた新進工房の「大人バケットバッグ」は、従来の革製バッグに比べて軽量で、持ち手には負担を軽減する工夫が施されています。さらに、女性向けに豊富なカラーバリエーションを展開していることも特徴です。応援コメントには「軽い本革を探していた」「欲しい色が多くて迷う」「理想のバッグに出会えた」といった声が寄せられています。
同商品は、ヒット商品と呼べる規模の応援購入金額を記録しました。しかし、多くの事業者が競合する革製品業界では、商品の大胆な差別化は容易ではありません。では、新進工房はどのようにして新規顧客の心をつかんだのでしょうか。
著者プロフィール:高野翔一
株式会社マクアケ PR部コーポレート広報
1984年生まれ。大手食品メーカーの営業やPR会社などを経験。PR会社では大手テーマパークをはじめ、さまざまな領域のPRを担当。2022年に株式会社マクアケへ入社。入社後は、コーポレート・サービス広報として携わりつつ、モノづくりを始めとした事業者の挑戦を後押しする広報を主に担当。
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