2024年は4割の映画館が「赤字」に 今年はヒット作多数で国内市場に光明
2024年度の国内映画館市場は2775億円と4年ぶりに縮小した。メガヒット作の不足や洋画の本数減少、動画配信サービスの浸透が主な要因となった。
帝国データバンクが行った全国の映画館市場調査によると、2024年度の国内映画館市場は2775億円となり、4年ぶりに縮小した。メガヒット作の不足や洋画の配給本数の減少、動画配信サービスの普及が影響した。
2024年度の国内映画館市場(事業者売上高ベース)は、前年度比3.3%減の2775億円となり、コロナ禍で大幅に落ち込んだ2020年度(1785億円)以来4年ぶりに縮小した。
映画動向をみると、アニメでは『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』や『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』、実写では『ゴジラ-1.0』『キングダム 大将軍の帰還』など邦画の話題作が公開された。
しかし、興行収入400億円を超えた『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』(2020年公開)に匹敵するような興行収入100億円超のメガヒットは少なかった。洋画は米ハリウッドでの脚本家や俳優のストライキの影響で配給本数が減少し、集客が伸び悩んだ。さらに、コロナ禍を機に「Netflix」「Hulu」「Amazonプライムビデオ」などの定額制動画配信サービスが普及し、映画館が日常的な娯楽としての地位を失いつつあることも逆風となった。入場者数を押し上げる材料に乏しかったことが、市場縮小の要因とみられる。
2024年度の映画館業績は
映画館の業績をみると、売上高が「前年度並み」となった企業は46.1%で4割を超えた。一方で「増収」は26.5%と、2023年度(45.4%)から18.9ポイント減少した。増収割合が4割を下回るのは、コロナ禍で外出制限が強まった2020年度(7.1%)以来、4年ぶりである。
損益面では「赤字」の企業が44.8%と4年ぶりに拡大した。深夜帯まで営業する映画館では人員確保に苦戦し、給与引き上げを余儀なくされた。加えて電気代やポップコーンなどのフードサービス仕入れ価格の上昇により運営コストが膨らみ、「減収減益」の傾向が強まった。
一方で、2025年度の市場規模は前年度から微増となる2800億円前後と予想されている。すでに興行収入299億円を突破した『劇場版 鬼滅の刃 無限城編』や、興行収入110億円を記録し歴代邦画実写第2位となった『国宝』などが市場を押し上げており、回復の兆しに注目が集まる。
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