国内景気、8月も改善 猛暑特需と建設需要が景況感を押し上げ
帝国データバンクの8月調査で、景気DIは3カ月連続で改善した。猛暑特需や建設需要がけん引する一方、サービス業は低迷。賃金と消費の回復が今後の焦点となる。
帝国データバンクが発表した2025年8月の景気動向調査によると、景気DI(Diffusion Index)は前月比0.5ポイント増の43.3となり、3カ月連続で改善した。
米国の関税政策を巡る不透明感は残るが、記録的な猛暑による特需や建設需要の拡大が景況感を押し上げた。今後は実質賃金の推移を見極めつつ、当面は横ばい圏での推移が見込まれる。
業種別:9業界が改善 製造・小売がけん引、サービスは悪化
業種別では「製造」「建設」「小売」など9業界が改善した一方、「サービス」だけが悪化した。猛暑を背景にエアコンや熱中症対策商材の販売が伸び、幅広い分野で景況感が上向いた。
製造業では「飲食料品・飼料製造」「鉄鋼・非鉄・鉱業」「化学品製造」が改善したが、「輸送用機械・器具製造」は自動車関税引き下げ時期の不透明さから3カ月ぶりに悪化した。
小売業では「飲食料品小売」が盆需要を受けて4カ月ぶりに改善。「医薬品・日用雑貨品小売」も熱中症対策品や日焼け止めの需要継続で改善し、「家電・情報機器小売」もエアコン販売が好調で40台を維持した。
サービス業では「娯楽サービス」が屋外レジャーの低迷で悪化。「広告関連」もイベント減少で下振れし、「人材派遣・紹介」も雇用環境の厳しさから低下した。ただし「飲食店」は家族連れ需要で3カ月連続改善した。
企業規模・地域別:全規模で改善 10地域中8地域が上向く
企業規模別では2024年9月以来11カ月ぶりに「大企業」「中小企業」「小規模企業」がそろって改善した。大企業は「製造」と「小売」がけん引し4カ月連続で改善。中小・小規模企業も各地で持ち直しが広がった。
地域別では10地域中8地域が改善。北海道や近畿では建設需要や農林水産物価格の上昇が押し上げ要因となった。北関東は人の動きの鈍化や自動車関連の不振から悪化した。
今後の展望:賃金と消費回復が焦点
帝国データバンクは今後の景気を巡り、実質賃金と可処分所得の改善が個人消費回復のカギになると分析している。また、インフレ対策の進展やAI関連の設備投資、インバウンド需要も下支え要因として期待される。
一方で、米国の自動車関税措置の不透明感、価格転嫁の難しさ、人手不足などが懸念材料であり、追加利上げの可能性も視野に入れる必要がある。
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