コラム
ドンキは本当に最強なのか? 地方スーパーが突きつける“一強多弱”の限界(6/7 ページ)
国内外で快進撃を続けるドンキに異変か。圧倒的な現場主義で拡大を続ける一方、地方発スーパーが「超本社主義」で成長を遂げ、王者の牙城を脅かし始めている。
ドンキとは“真逆の戦略”で成長する地方企業も
このようにして、小売業界の王者となりつつあるドンキ。圧倒的な業績で、死角がないように見えるものの、課題は残っています。
実は、全体としては成長していますが、ディスカウントストアやGMSでは既存店の客数が伸び悩んでおり、既存店ベースの客数伸び率は、前年同月比で2024年6月期が102%、2025年6月期は101%程度にとどまり、微増にとどまっています。コロナの影響もあり、2020年6月期〜23年6月期までの伸び率は前年を下回っていることから、この数年で「やっと元通りになった」という見方のほうが正しいでしょう。
インバウンド効果が今後も継続するかどうかも不透明です。観光需要は景気に敏感なため、欧米の経済状況や為替動向によっては、訪日観光客の消費行動に大きな影響を与える可能性があります。外部環境の変化によって、これまでの成長エンジンが鈍化するリスクも大いにあります。
また、小売業界には、ドンキとは全く異なる戦略で着実に成長している企業が存在する点も気になるポイントです。
例えば、埼玉県を中心に店舗を展開しているスーパー「ベルク」は、業界屈指の標準化を進め、本社主導の運営体制を徹底しています。ドンキの「徹底した現場主義」とは真逆ともいえる「超本社主義」によって、2025年6月時点で既存店売上高・客数・客単価の3指標すべてにおいて、35か月連続の前年超えを達成しています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地
インバウンド需要が旺盛で、日本の観光業界が盛り上がりを見せています。では、航空会社の業績はどうなっているのでしょうか。JALとANAの決算をベースに分析したところ……。
「任天堂VS.株主」見ている未来は違う? 「スイッチ2」に市場が冷めた理由
任天堂は1月、次世代ゲーム機「Nintendo Switch 2」の発売を明らかにしました。発表後、同社の株価は急落したのですが、その背景になにがあったのでしょうか? 任天堂の成長を支えるポイントは……。
「牛丼500円時代」の幕開け なぜ吉野家は減速し、すき家が独走したのか
牛丼の価格戦争――。この言葉を目にすると「懐かしいなあ」と感じる人も多いかもしれないが、いまや「500円時代」の足音が聞こえてきた、といったところでしょうか。牛丼チェーン3社の業績を見ると、明暗がわかれているようで。
なぜ「金の卵」を守れなかったのか 東芝と日立、明暗を分けた企業統治のあり方
半導体大手のキオクシアHDが、株式上場を遅らせると発表しました。キオクシアの旧社名は「東芝メモリ」。「金の卵」ともいえる事業を、なぜ東芝は手放したのでしょうか。
「イオンモール」10年後はどうなる? 空き店舗が増える中で、気になる「3つ」の新モール
かつて「街のにぎわいの中心地」ともいわれたイオンモールでも、近年は「安泰」ではない状況になっている。少子化が進む日本で大型ショッピングセンターが生き残る鍵は――。
衰退するシャープは「日本そのもの」か “世界の亀山モデル”が失敗パターンにハマった理由
シャープが、テレビ向け大型液晶パネルの生産を2024年9月末で終了すると発表した。同社はまるで「世界の変化に対応できず」衰退していく「日本そのもの」のようだ。なぜかというと……。

