連載
「サントリー会長辞任」にざわざわ 逮捕なしでも“プロ経営者”が辞めざるを得なかった理由:スピン経済の歩き方(5/7 ページ)
「プロ経営者」として知られる新浪剛史氏の辞任が話題となっている。「違法サプリ疑惑」もあるが、危機管理の観点で問題だったのは……。
CBDサプリメントは日本でも購入できる
それだけ米国で購入したCBDサプリメントを日本に持ち込むのはかなりリスキーなことなのだ。サントリーHDの会長として、このリスクを無視していたのは、「危機管理能力ゼロ」のそしりを受けてもしょうがない。
このような「プロ経営者」とは思えない責任感の欠如・脇の甘さに加えて、取締役会が問題視したのは、おそらく(3)の「日本で買うと高いので個人輸入した」という動機である。
CBDサプリメントは日本国内でも購入できる(※)。もちろん、日本国内で販売されているものは成分基準を満たしており「合法」である。競合他社の製品を購入するのは気が引けるかもしれないが、これまで解説したようなリスクがあるので普通に考えればこちらを購入する。
(※)大麻草から抽出される成分の一つ。抽出の過程でTHCという成分が残ることがあり、この成分が基準値を上回ると「麻薬」扱いで違法となる。
しかし、新浪氏はそれをやらなかった。ご本人によれば、その理由は「高いから」だという。記者会見でも新浪氏はこう述べている。
「日本より米国のほうが安いということで、経済的な意味合いだ」
この説明がネットやSNSで「めちゃくちゃ稼いでいる人間の言うことではない」と叩かれているが、これを新浪氏の口から聞いたサントリーHDの取締役会は別の意味で、開いた口がふさがらなかったはずだ。
「日本で買うと高いので、海外のサプリを個人輸入します」というのは、サントリーウェルネスとしては最も消費者から言ってほしくない動機だからだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
「ジャングリア沖縄」はなぜ叩かれるのか? 大自然と人工恐竜の没入感ギャップ
7月25日にオープンしたばかりの「ジャングリア沖縄」が、ネット上で叩かれている。なぜ厳しい意見が飛び交っているのか、その理由は……。
なぜラーメン二郎は信者を生むのか 支配と服従がもたらす“中毒性”の正体
ラーメン二郎府中店がXに投稿した「食事は20分以内」の“お願い”が話題になっている。「客を支配している」と批判する人もいるが、むしろ日本では今後そうした店舗が増えていくのではないか。その理由は……。
「天下一品」閉店の背景は? 唯一無二の“こってり”に陰りが見える理由
天下一品の大量閉店が話題になっている。フランチャイジー側の店舗戦略が関係しているとの話もあるが、本当だろうか。天下一品のヘビーユーザーでもある筆者の見解は……。
