周回遅れのMUFG、「金利ある世界」に攻勢 20年ぶり新店舗でリテール強化(1/4 ページ)
リテール戦略で「周回遅れどころか2周3周遅れ」と指摘される三菱UFJ銀行。約20年ぶりとなる新店舗「エムットスクエア高輪」で反転攻勢へ。マイナス金利解除で90兆円超の預金が「足かせ」から「武器」に転換した。
筆者プロフィール:斎藤健二
金融・Fintechジャーナリスト。2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社にて複数媒体の創刊編集長を務めたほか、ビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わる。2023年に独立し、ネット証券やネット銀行、仮想通貨業界などのネット金融のほか、Fintech業界の取材を続けている。
「リテールに関しては、正直周回遅れどころか、2周3周遅れている」。9月8日、三菱UFJ銀行が高輪ゲートウェイシティで開いた新店舗の記者会見で、記者から痛烈な指摘が飛んだ。
みずほフィナンシャルグループが今年3月に「みずほのアトリエ」を、三井住友フィナンシャルグループが2023年10月に次世代店舗「ストア」を展開する中、三菱UFJ銀行の出遅れは明白だった。記者は続けた。「今回のコンセプトも正直あまり目新しさもない。この出遅れが、リテール戦略に致命的なダメージを与えるのではないか」
山本忠司・取締役常務執行役員リテール・デジタル部門長は、この厳しい現状認識を否定しなかった。「おっしゃる通り、出足が遅れている」。率直にそう認めた上で、巻き返しへの決意を語り始めた。
左から、三菱UFJ銀行 常務執行役員 向井理人氏、取締役常務執行役員 山本忠司氏、取締役頭取執行役員 半沢淳一氏、東日本旅客鉄道 代表取締役社長 喜勢 陽一氏、三菱UFJ銀行 専務執行役員 田中琢哉氏、品川駅前支店高輪出張所長 鏡美和氏(著者撮影)
この日オープンした「エムットスクエア高輪」は、三菱UFJ銀行にとって特別な意味を持つ。半沢淳一頭取は冒頭のあいさつで「約20年ぶりとなる新店舗」と強調し、「銀行としての大きな節目であり、店舗のあり方への新たな挑戦」と位置付けた。2005年の三菱東京フィナンシャル・グループとUFJホールディングスの経営統合以来、実に初めての新規出店である。
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