「大谷ホームラン×ぼんご」売上はどうなった? ファミマの“おむすび二刀流”の秘密:ササる“数字”のつくり方(2/4 ページ)
大谷翔平選手を起用したファミマのおむすびキャンペーン。ホームラン連動クーポンで売り上げはどうなった? 戦略的に磨かれた“二刀流”の効果を数字で検証する。
関東でぼんごの商品が売れた
売り上げデータを見ると、気になる数字が3つ並んでいた。1つめは、関東の店舗でよく売れたことである。これまで大きなサイズのおむすびは、全国的に均等に売れるケースが多かったが、ぼんごの店舗は都内に構えていることもあって、関東地方で人気を集めたのだ。
「『ぼんご』はよくメディアでも取り上げられているよね。店の前にはいつもたくさんの人が並んでいるし。ファミマで、試しに買ってみようか」といった消費者心理が働いたようである。
全国で均一に売れる大谷効果と、関東に偏りが出たぼんご効果。この2つの掛け合わせによって、前年比120%につながったようだ。企画を担当した橋本剛さんは「これまでのキャンペーンと単純に比較はできないが、『前年比120%』の数字は過去最高レベルだ」という。
ちょっと話がそれてしまうが、なぜファミマは「大谷×ぼんご」の企画を実施したのだろうか。
おむすび、パン、飲料――この3つの商品に共通することは何か。「来店動機商品」である。試しに買ってみて「意外とイケる」となれば、次の来店につながるかもしれない。また、おむすびを買うついでに、飲料や菓子などの購入にも期待がかかる。
ということもあって、おむすびの売り上げを伸ばすために、ファミマは「ふんわり握れる機械」や「塩の振り方を変えられる装置」を導入してきた。しかし、味は変化しているのに、お客にそのことがなかなか伝わらなかったのだ。
こうした課題に対して、「ブリッジ(橋渡し)になる人が必要だった」と橋本さんは振り返る。勘のスルドい読者であれば、もうお気付きだと思うが、大谷選手の起用は単なる広告塔ではなく、なかなか伝わらなかった改善を「言語化」する存在でもあったのだ。設備投資という「伝わりにくいこと」を、スター選手の存在によって、「感じられること」に変換させたわけである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ファミマ「初サングラス」が大ヒット 3週間で完売した理由
ファミリーマートの「コンビニエンスウェア」、夏の新作が好調だ。ブランド初展開となる「サングラス」は、発売から1カ月足らずで、ほぼ完売したという。どんな商品なのか。
セブンの棚を制した“宇宙人ビール” 1本350円でも、いきなり売れたワケ
350円のビール「有頂天エイリアンズ」がセブンに登場し、予想外の売れ行きを見せている。高価格でもヒットした理由とは?
「文具×ガチャ」またひそかに売れた、キングジム「3カ月完売」ヒットの秘密
カプセルトイ市場が拡大する中、文具メーカーのキングジムが人気商品をミニチュア化した「キングミニ」が話題になっている。2020年に発売すると、わずか3カ月で完売。実用性も兼ね備えた新感覚ミニ文具の秘密に迫る。
なぜイオンの“屋内公園”は人気なのか 「95%」の数字にこだわる理由
イオンモールなどにある「屋内公園」をご存じだろうか。猛暑日が続いていることもあって来場者が増えているようだが、人気の理由はそれだけではないようだ。取材したところ……。



