「大谷ホームラン×ぼんご」売上はどうなった? ファミマの“おむすび二刀流”の秘密:ササる“数字”のつくり方(3/4 ページ)
大谷翔平選手を起用したファミマのおむすびキャンペーン。ホームラン連動クーポンで売り上げはどうなった? 戦略的に磨かれた“二刀流”の効果を数字で検証する。
クーポンの利用率
気になる数字の2つめは、クーポンの利用率だ。先ほど紹介したように、大谷選手が活躍すればクーポンをプレゼントしているわけだが、びっくりしたのは利用率である。内容にもよるが、クーポンの利用率は6割を超えれば「合格」と言われている中で、大谷選手が20号のホームランを打ったときには、92%の数字をたたき出したのだ。
こうした話をすると「それはよかったね。たくさんのクーポンをもらって、多くのお客が喜んでいるはず」と思われたかもしれないが、注目すべき点はほかにもある。
この原稿を書いている9月10日時点で、大谷選手のホームランはすでに48本。ホームランが出るたびに、お客は「またクーポンをもらえる」と思い出す。つまり、単なる割引ではなく、ホームランごとに「よし、今日もファミマのおむすびを安く買えるぞ」と思わせる、リマインド装置のような仕組みになっているのだ。
気になる数字の3つめは、「その後」のことである。新商品を投入して、クーポンを提供して、大々的な広告を打って……となれば、売り上げは伸びて当然という見方もできる。
実際、キャンペーン期間中(3月4〜24日)に、新作のおむすび4種は計900万個も売れた。となれば、終了後の反動減が懸念ポイントである。橋本さんに聞いたところ、「前年比110%で推移した」とのこと。この数字を見る限り、今回のキャンペーンは一時的な盛り上がりだけではなく、ベースを引き上げる効果もあったようだ。
そして、8月26日。ファミマはキャンペーンの第2弾として「シンおむすび二刀流、発表。」をスタートした。ぼんご監修の商品のほかに、肉の老舗「柿安」(三重県桑名市)のおむすびを投入。これまでのところ、いい感じのスタートを切れていて、売り上げは対前年比120%で推移しているようだ。
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