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企業倒産、8月は過去10年最多 建設・サービス業で急増

2025年8月の企業倒産は751件と過去10年で最多に。建設業やサービス業で増加が目立ち、負債総額は1129億円超。トランプ関税の影響も懸念され、帝国データバンクは年間1万件規模を視野に微増傾向が続くと分析する。

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 帝国データバンクがまとめた「2025年8月の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理対象)」によると、倒産件数は751件(前年同月比0.7%増)だった。2025年で最少水準だったものの、3カ月連続で前年を上回り、8月としては過去10年で最多となった。

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帝国データバンクは「2025年8月の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)」の調査を行った(出所:photoAC)

 2025年1〜8月の累計は6710件で、前年同期比2.4%(157件)増。負債総額は1129億3600万円(前年同月比21.8%増)となり、4カ月ぶりに前年を上回った。最大は、脱毛サロン「ミュゼプラチナム」を展開していたMPH(東京都千代田区)の破産で、負債額は約260億円にのぼった。

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2025年8月 倒産動向(出所:プレスリリース、以下同)
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2025年8月 倒産件数・負債総額 推移

 業種別では7業種うち3業種が前年を上回った。「サービス業」が最多で26.2%増。「建設業」は同26.2%増と最も高い伸び率を示し、過去10年で最多に並んだ。「運輸・通信業」も同21.4%増で、8月としては過去10年で最多となった。

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業種別 倒産件数・構成比

 細分類では「建設業」で総合工事(56件)、設備工事(31件)が増加し、木造建築工事や一般管工事の倒産が目立った。「サービス業」では旅館・宿泊所(7件)が増加した。一方、広告・調査・情報サービス(53件)は2カ月連続で前年を下回った。

 主因別では「販売不振」が606件(前年同月比1.1%減)で全体の80.7%を占めた。「業界不振」は5件(同25.0%増)で4カ月ぶりに前年を上回った。不況型倒産(販売不振、業界不振、売掛金回収難、不良債権累積の合計)は621件(同0.2%増)で、3カ月連続の増加となった。

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倒産主因別 倒産件数・構成比

 米国との相互関税(いわゆる「トランプ関税」)を懸念し、受注減から破綻に至ったケースも発生した。帝国データバンクが「TDBマクロ経済予測モデル」で試算したところ、トランプ関税がなかった場合に比べて実質GDP成長率は0.4ポイント低下し、倒産件数は約260件増える可能性があるという。

 今後は年末にかけて資金需要が高まる中、倒産が増える傾向にある。懸念材料として「2026年4〜9月にピークを迎えるコロナ借換保証の返済開始」「粉飾倒産や人手不足倒産の高水準」などが挙げられる。帝国データバンクは「2025年の倒産件数は年間1万件を視野に、微増傾向が続く」と予測している。

 調査は、負債1000万円以上の法的整理による倒産を対象に、2025年8月1〜31日を期間として実施した。

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