「地面が光るLED信号灯」なぜ登場? 歩行者の安全をデータで支える新技術(1/3 ページ)
大阪府守口市に日本初の埋込型LED信号灯が登場した。横断歩道の足元から光で注意を促し、1年の実証実験で安全性をデータで確認。歩行者の安心と事故低減を目指す新技術とは……。
大阪市の北東に隣接する人口約14万人の都市、大阪府守口市。住宅地と商業施設が混在し、通勤・通学で多くの人が行き交う街だ。そんな守口市の大枝公園前に、日本初の「埋込型信号灯」が6月23日に登場した。
横断歩道の地面に埋め込まれた黄色のLEDラインが点滅し、歩行者の足元から注意を促す。地面から光る信号は、交通安全にどのような変化をもたらすのか。
警察庁が2024年に発表した統計によると、横断歩道を横断中の死者・重傷者数の割合は増加傾向にある。信号機のない横断歩道での事故数が2020年以降増えており、新たな安全対策の必要性が高まっている。
守口市に設置された埋込型信号灯は、足元から歩行者や車両に注意を促す。横断歩道の手前や両脇に埋め込まれたLEDやポールが道路を照らし、夕方から夜間にかけて、より高い視認性を発揮する。
開発したアトラス埋込型信号機(以下:アトラス、大阪市)の坂口将人氏は「歩行者側が最も見やすくなるよう、インナーレンズで光を拡散させている」と説明する。従来の縦型や吊(つ)り下げ型の信号機と異なり、高齢者や歩きスマホをする人など、目線が下向きになりがちな人へ注意を促す。
設置された横断歩道は公園の間にあり、片側1車線で頻繁に車が行き交う。住宅地も近いことから周辺住民や子どもの通行が多く、時間帯によっては公園で活動するサッカークラブの子どもたちの送迎で混雑する。
交通量が多いため、地域住民も信号機設置を要望していたが、既存信号機との距離や道路幅などから従来型の信号機導入は困難だった。そこで、埋込型信号灯を開発していた同社の設備が採用された。
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