「コンビニごはん」を支えるのは誰? “ホームタウン騒動”で見えた働き手の知られざる日常:スピン経済の歩き方(6/7 ページ)
JICA(国際協力機構)のホームタウン騒動により、該当する自治体に多くの抗議が届いているという。これはいずれ、外国人労働者を受け入れている企業にも向けられる可能性がある。なぜかというと……。
外国人労働者に頼らざるを得ない現実
さて、このような厳しい現実を目の当たりにしても「移民反対」の皆さんは、「外国人はもう来るな!」と抗議できるだろうか。外国人労働者を多く受け入れている企業に対して「お前らのような企業が移民を入れるせいで治安が悪くなるのだ」などと攻撃できるだろうか。
かなりビミョーではないか。
外国人労働者に依存しているのは「コンビニごはん」などの総菜だけではない。建設業や医療・介護、衣類の縫製工場などは外国人依存が高まっており、この10年で外国人労働者の割合が4倍になった地域もある。
- 「外国人依存」地方で進む 宮崎など7県、10年で4倍(日本経済新聞 2025年8月15日)
われわれ日本人が、外国人観光客がうらやむほどの「安くておいしい食事」を食べられたり、年老いた親を介護してもらったり、新しいマンションやビルで快適に仕事や生活ができていたりするのは、日本人が嫌がって避ける仕事を外国人労働者の皆さんが肩代わりしてくれているからなのだ。
もちろん、そういう話になると移民反対派の皆さんは「だったら外国人に頼らなくていいように賃金を上げて日本人を雇うか、ロボットやAIを活用しろよ」と主張する。まったくもってごもっともだが、現実的にそれができないので日本に250万人もの外国人労働者がいるのだ。なぜかというと、安価な外国人労働者を求めているのは、ほとんどが賃上げもできず、ロボットやAIといった設備投資も困難な中小零細企業だ。
そして、残念ながらこれはバラマキや公的支援でどうにかなるような話ではない。日本企業の約360万社のうち99.7%は中小企業であり、7割の日本人がそこで働いている。しかもその6割は社員が数人程度の小規模事業者だ。つまり、日本は外国人労働者に頼らざるを得ない事業者であふれているのだ。
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