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単なるバブルか、次の産業革命か――熱狂するAI投資、どう見るべきか(3/3 ページ)

AI投資が過熱している。この動きは“ITバブル”の時と近しいが、違いは何なのか。

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インターネットの普及とAIの決定的な違いは……

 ただ、コンピュータとインターネットの普及が50年以上かかったのに対し、AIはその元年を生成AIブームの始まった2022年とすると、わずか3年で大型汎用機やダウンサイジング、水平分業や標準化まで一気に進んだ。そして、ネットワークにも接続することで、“別物”へと進化しようとしている。

 次に世界が求めるのは、その技術をどう生かすかというビジネスアイデアだろう。

 かつてのインターネットの価値を引き出したのは、数多の検索エンジンを「ページランク」という独自のアルゴリズムで差別化し、検索の事実上の標準となったグーグルだった。

 その後グーグルは、検索連動広告というビジネスを開花させ、大きな利益を手にした。今後必要とされるのは、現在の業務を自動化・効率化させるにとどまらず、AIの価値を最大限引き出すための新たな補完的サービス、つまりイノベーションである。

 ただし、そこには検索連動広告のように、ビジネスとしての“うま味”もなければならず、AIネットワーク時代のビジネスモデルの再考が必要になる。

 また、AIの汎用技術への進化は、ネットワーク化にとどまらない。かつて人は現実世界からインターネットというデジタルを目指したが、AIはその逆のデジタルから現実世界に向かうだろう。

 その先には、ロボットとの融合による「Beyond AI(AIを超えた世界)」が待っている。コンピュータだけでは実現できなかった「動力革命」、つまり「第2の産業革命」がゴールである。


将来的にはロボットとも融合?(出典:アマゾンの公式Webサイト)

 このゴールがどれほど先にあるのか。そこにたどり着くまでに、どれだけの時間や投資が必要なのか。そして、その過程でどれほどの新しい補完技術や市場が生まれ、成長するのか。それ次第で、現在のAI投資への評価は大きく変わるだろう。

 新たな汎用技術の登場は、必然的に既存の社会システムやビジネスの競争環境を変えていく。グーグルやアマゾン、アップルなどの成長を見てきた世界中の国家や企業にとって、現状を変える絶好のチャンスが巡ってきていると言って良いだろう。

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