インターネットの普及とAIの決定的な違いは……
ただ、コンピュータとインターネットの普及が50年以上かかったのに対し、AIはその元年を生成AIブームの始まった2022年とすると、わずか3年で大型汎用機やダウンサイジング、水平分業や標準化まで一気に進んだ。そして、ネットワークにも接続することで、“別物”へと進化しようとしている。
次に世界が求めるのは、その技術をどう生かすかというビジネスアイデアだろう。
かつてのインターネットの価値を引き出したのは、数多の検索エンジンを「ページランク」という独自のアルゴリズムで差別化し、検索の事実上の標準となったグーグルだった。
その後グーグルは、検索連動広告というビジネスを開花させ、大きな利益を手にした。今後必要とされるのは、現在の業務を自動化・効率化させるにとどまらず、AIの価値を最大限引き出すための新たな補完的サービス、つまりイノベーションである。
ただし、そこには検索連動広告のように、ビジネスとしての“うま味”もなければならず、AIネットワーク時代のビジネスモデルの再考が必要になる。
また、AIの汎用技術への進化は、ネットワーク化にとどまらない。かつて人は現実世界からインターネットというデジタルを目指したが、AIはその逆のデジタルから現実世界に向かうだろう。
その先には、ロボットとの融合による「Beyond AI(AIを超えた世界)」が待っている。コンピュータだけでは実現できなかった「動力革命」、つまり「第2の産業革命」がゴールである。
このゴールがどれほど先にあるのか。そこにたどり着くまでに、どれだけの時間や投資が必要なのか。そして、その過程でどれほどの新しい補完技術や市場が生まれ、成長するのか。それ次第で、現在のAI投資への評価は大きく変わるだろう。
新たな汎用技術の登場は、必然的に既存の社会システムやビジネスの競争環境を変えていく。グーグルやアマゾン、アップルなどの成長を見てきた世界中の国家や企業にとって、現状を変える絶好のチャンスが巡ってきていると言って良いだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
ハンコで国内トップメーカーのシヤチハタが、2025年に創業100周年を迎える。気になっていた質問をぶつけてみた。インタビュー後編。
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
企業にとって残業しない・させない文化の定着は不可欠だ。しかし――。
仕事が遅い部下に“あるテクニック”を教えたら、「チーム全体の残業時間」が3割減ったワケ
仕事の効率化や部下育成に悩む上司やリーダーは、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
売れなかった「水筒みたいな氷のう」が逆転ヒット メーカーも予想しなかったSNSの“バズ”
“売れない氷のう”が、SNSをきっかけに一大ヒットに転じた。ピーコック魔法瓶の携帯氷のうとは……?
新入社員「Web会議でカメラオンにする必要なくないですか?」 上司のあなたはどう答える?
「上司として、どう答えていいか分からなくて……」 ある大手製造業の部長から相談されたのは、不思議な話だった。
