日清「完全メシ」累計5000万食を突破 担当者が明かす人気のヒミツ:海外展開も強化(1/6 ページ)
日清食品の「完全メシ」シリーズが好調だ。累計5000万食を突破し、2025年度は100億円規模の売り上げを見込むが、ヒットの要因は何だろうか。今後の戦略と合わせて日清食品の中村洋一氏に聞いた。
日清食品(東京都新宿区)が手掛ける「完全メシ」シリーズが好調だ。2022年5月に発売し、累計出荷数は2025年3月末に4000万食、同年8月末に5000万食を突破している。
三大栄養素であるたんぱく質、脂質、炭水化物だけでなく、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」で定められたビタミン・ミネラルなど33種類の栄養素と、おいしさのバランスも追求した商品である。同社によると、ブランド認知率は50%を超えているそうだ。
2025年度の売り上げは順調に推移しているが、好調の理由は何だろうか。ビヨンドフード事業部 副事業部長の中村洋一さんに話を聞いた。
時代とともに変わる「健康課題」を食で解決
「チキンラーメン」「カップヌードル」「日清のどん兵衛」「日清ラ王」など、多くのロングセラーブランドを抱える日清食品。そんな同社の新規事業のひとつとして生まれたのが「完全メシ」シリーズである。
背景にあったのは、健康課題の変化だ。祖業であるインスタントラーメン「チキンラーメン」が生まれたのは1958年。戦後の健康課題は、飢餓や栄養不足だった。創業者の安藤百福は「誰もがおいしいものを手軽に食べられる世の中にしたい」と考え、お湯さえあれば自宅で食べられるインスタントラーメンの開発に取り組んだ。
それから半世紀以上がたった現在は、飽食によるオーバーカロリーや、カロリーは足りているものの特定の栄養素が不足する隠れ栄養失調、粗食や小食による低栄養が原因で起こるシニアのフレイル(虚弱)などが課題となっている。
こうした現代の健康課題を解決するために開発したのが、「完全メシ」だ。同社は「Beyond Instant Foods」のスローガンを掲げ、インスタントラーメンに次ぐ新たな食文化の創造に挑戦しており、2019年10月に「Beyond Instant Foods Lab」プロジェクトを始動。コンセプト設計やプロトタイプの開発を経て、2021年8月に「完全メシ」シリーズの開発に着手し、2022年5月にオンラインストアで販売した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
ドンキ「152円ビール」じわり人気 “地味過ぎる”見た目になった深いワケ
ドンキのPBビール「ド」シリーズがじわじわ売れている。モノクロのシンプルなデザインと1本152円の低価格で、若年層やライトユーザーを中心に支持を広げているようだ。
なぜラーメン二郎は信者を生むのか 支配と服従がもたらす“中毒性”の正体
ラーメン二郎府中店がXに投稿した「食事は20分以内」の“お願い”が話題になっている。「客を支配している」と批判する人もいるが、むしろ日本では今後そうした店舗が増えていくのではないか。その理由は……。
わずか4分で1億円を突破! 飲めるのは「20年後」なのに、なぜキリンのウイスキーは“即完”したのか
発売からわずか4分で1億円を突破し、即日完売したキリンのウイスキー。その実物が届くのは20年後という“異例の設計”には、ある開発者の想いと、緻密な仕掛けがあった──。

