Copilot関数でデータ整理を一瞬に! 不ぞろい表記を“秒”で統一する方法:その悩み、生成AIが解決
Excelデータの整理には、2025年8月から試験提供が開始されているExcelの「Copilot関数」が便利だ。従来の関数では扱えなかったテキスト情報を、AIを使ってセル内で扱えるようになる。
連載:その悩み、生成AIが解決
アイデアが浮かばない、こんな無駄な作業なくしたい――。ビジネスパーソンを悩ませる日々のさまざまな困りごと、ChatGPTに聞いてみませんか? ITジャーナリストの酒井麻里子氏がプロンプトの書き方を伝授する。
Q.Excelのアンケート集計や顧客データの整理に手間がかかります。通常の関数や数式で分析・整理できない情報を効率的に扱う方法はないですか?
Excelデータの整理には、2025年8月から試験提供が開始されているExcelの「Copilot関数」が便利だ。従来の関数では扱えなかったテキスト情報を、AIを使ってセル内で扱えるようになる。
著者プロフィール:酒井麻里子(さかい・まりこ)
ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。
テキストの分析や要約が可能に
Copilot関数は、既存の関数と同じようにセル参照や式と組み合わせて利用でき、情報を行や列ごとに自動処理できる。
例えば、顧客アンケートの結果を集約したシートの自由記述のコメントについて、そのコメントがポジティブなものか、ネガティブなものかを分析したい場合がある。こういった処理は従来の関数や数式だけでは扱えなかった。
この場合、コメントの隣の列に以下のようにCopilot関数を記述すればよい。セル内に直接プロンプトを書きづらいときは、数式パレットを使うと便利だ。
数式パレットを使う
=COPILOT("各行をポジ/ネガ/中立で分類して。出力は1語", A2:A16)
すると、Copilot関数を記述した列の各行に結果が表示される。最初の行だけ入力すれば、「スピル」(配列展開)と呼ばれる機能で他の行に自動展開される。
ただし、Copilot関数のスピルは意図した通りに動かないケースもあるので、その場合は、関数を各行にコピーするか、他の関数(BYROW関数とLAMBDA関数など)を使って下の行に展開させる対応が必要になる。
同じ要領で長いコメントを要約したり、ネガティブコメントから不満の要因を抽出したりといったこともできる。データだけで分析が困難な領域を可視化できるようになるのが大きなメリットだ。
電話番号のバラバラ表記も簡単に統一
Copilot関数は、テキストの羅列を構造化されたデータに変換したい場面でも重宝する。中でも特に便利なのが、電話番号表記の統一だ。半角数字のみ、半角ハイフンあり、全角ハイフンあり……など、形式がバラバラで扱いに困るデータに遭遇することはよくあるだろう。
このような場合も、電話番号の隣の列に以下のCopilot関数を記述するだけでよい。
=COPILOT("各行の電話番号を半角数字のハイフン区切り形式(例:090-1234-5678)に統一してください。出力は電話番号のみ", A2:A6)
これで形式が統一された電話番号が出力される。必要に応じて、国際形式(+81など)のルールを加えることも可能だ。
テキストの羅列を項目で区切って整理できる
データの整理ではこのほかに、テキストデータを内容に応じて区切るといった処理も行える。
例えば、注文IDや氏名、電話番号、到着日などがテキストとして同じセル内に並んでいるものを、項目ごとに「|」(縦線)で区切るなら、隣の列に次のCopilot関数を記述する。
=COPILOT("各行から注文ID,氏名,電話,着日,時間帯を抽出。出力は|切りで、氏名の「様」は除く。", A2:A4)
すると、項目ごとに「|」で区切られたデータが出力される。ただし、この時点ではまだ、同一セル内に区切られた情報が入っている状態だ。
続いて、記号で区切られたデータをセルに分割するTEXTSPLIT関数を使って表を作っていく。C列以降に各項目の列を作成し、以下の関数を入力。
【プロンプト】
=TEXTSPLIT(B2,"|")
これで、データが項目ごとにセルに入力される。あとは通常のテーブルデータとして扱えばよい。
Copilot関数は、Microsoft 365 Copilotを利用可能なアカウントで、Excelのバージョンを最新のベータ版にアップロードすることで利用できる。
これまで手動で処理していたデータの分析や整理が簡単に行えるようになるのが大きな魅力だ。使い方に迷ったときは、サイドバーのCopilotに使い方を聞けば書き方を提案してもらえる。「この作業は効率化できないか?」という視点で、AIに質問しながら積極的に使っていくことで、データ処理にかける時間を大きく短縮できるはずだ。
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