スズキが目指す“100キロ軽量化”の衝撃 クルマは軽ければ軽いほどいいのか:高根英幸 「クルマのミライ」(2/5 ページ)
自動車メーカーは、軽量化の技術開発に注力してきた。スズキは「100キロの軽量化」を掲げ、開発を進めている。一方、クルマの性能を高めるため、重量増となる改良を行うケースもある。軽く、強く、安全なクルマを作るための挑戦が続けられていくだろう。
軽量化を追求するスズキの強みとは
日本の自動車メーカーは、部品の信頼性や品質を高めながら最低限の重量に収めることで、燃費や衝突安全性を高め、故障の原因も取り除き、トータルで安く安心して乗れるクルマを提供してきた。その実績によるブランド力で世界から支持されているのだ。
米国車メーカーが丈夫さを最優先に車体や部品を作り、その上で軽量化や燃費改善を図ってきた歴史とは大きく異なる。広大な国土をもつ米国では、立ち往生が生命の危機に直結していたという事情もある。通信技術が進歩した現代では、クルマ作りを根本から変えるべきだが、長い歴史と固定観念を変えることは難しいのだろう。
一方、ユーザーに選んでもらうためには、流行のクルマに仕立てる必要がある。SUVやLサイズミニバンでは、デザインや斬新性などで差別化するために、軽量化を犠牲にせざるを得ない部分がある。
室内の加飾なども重要な要素だ。どれだけ軽量で、燃費や加速性能が競合より少しくらい良くても、デザインや豪華さで引けを取れば、選んでもらうことは難しくなる。誰だって何百万円も払って(最近は残価設定ローンが主流の車種もあるが)購入するのなら、移動中も満足感が得られる充実した空間を選びたいものだ。
先日、スズキが技術戦略説明会を開催した。これは2024年7月に発表した「10年先を見据えた技術戦略」の進捗(しんちょく)状況を報告するものであった。
スズキのすごいところは、軽量化をコストアップの言い訳にしないことだ。そもそも織機の生産で創業し、乗り物の生産は小さなオートバイから始めた歴史がある企業だけに、材料を減らして軽く安く作る技術には長けている。
そのためかつては、同じ軽自動車というカテゴリーでも、2輪車から発展したスズキやホンダの軽自動車と、ダイハツや三菱の軽自動車では、全体的な乗り味に差を感じたものだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
BYDの軽EVは日本で売れるのか 苦戦が予想される“これだけの理由”
中国のBYDが日本で軽自動車のEVを投入すると話題になっている。しかし、日本で売れるのかは微妙だ。その背景には、モノづくりに対する根本的な考え方の違いがある。品質に対する姿勢が従来と変わらないなら、日本ではあまり受け入れられないだろう。
クルマのヘッドライトは明るいほどいいのか 「まぶしさ」を解消する最新技術
クルマのヘッドライトは急速に進化してきた。明るさとデザイン性を高めてきた一方で、周囲のドライバーが「まぶしい」と感じてしまう問題も発生。それを解決する新しい技術も開発されている。今後も、より安全で広い視界を確保できるライトが出てきそうだ。
新型プレリュードは若者に売れない? それでも日本車の未来を切り開く理由
ホンダの新型プレリュードが発売された。先代とは異なり、若者ではなく中高年層向けのクルマで、上質な走りと特別感のある仕立てが際立つ。このような新しい価値観を与えてくれるクルマこそ、日本車のブランド力向上につながるだろう。
なぜ「ジムニーノマド」の注文が止まらないのか 変わりゆくクルマ選びの基準
スズキが発表した「ジムニーノマド」に注文が殺到し、受注を停止する事態になった。SUV人気に加えて、実用性と新しい刺激の両方を得られる期待感が高いようだ。今後のクルマ選びに対しては、充実した機能や性能をいかに分かりやすく伝えるかが重要になる。
クルマのブレーキはどう進化する? “最重要装置”の課題と未来
クルマにとって最も重要な機能の一つがブレーキだ。ブレーキはクルマの黎明期から進化を遂げ、さまざまな機能を持つブレーキシステムが構築されている。摩擦式ブレーキの課題を解決する新しいブレーキも開発されている。今後もますます重要性は高まるだろう。
