大規模レイオフのダイニー 直撃取材で、社長は何を語った?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)
社員の2割ほどのレイオフを行ったダイニー。社長は直撃取材で、何を語ったのか……?
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。
飲食店向けのモバイルオーダーやPOSレジを開発・提供する、ダイニー(東京都港区)の山田真央社長(代表取締役CEO)が、ブログのプラットフォーム「note」につづった、レイオフ(厳密には退職勧奨)の記事が話題になっている。
2025年8月6日に公開された「レイオフを伝えるという仕事」の中で、山田社長は「欧米では当たり前であるこの決断ですが、日本では、レイオフ=経営難という誤解が強く根付いています」とし、業績不振によって人員整理を行ったのではないと強調。
「『AI時代における経営のあり方』そのものが、根底から変わってしまったから」、レイオフに踏み切ったとしている。
ダイニーは、2024年9月に、米国のベンチャーキャピタル(VC)「Bessemer Venture Partners」と「Hillhouse Investment Management」をリード投資家に、総額74.6億円もの資金調達を行ったことで名を上げた。
海外VCからの巨額の投資効果もあり、2024年6月に100人程度だったダイニーの社員数は、1年で2倍の200人ほどに急増していた。
しかし、海外VCが資本投入して1年もたたないうちに、今回の人員整理により、エンジニアやコーポレート部門の人員を30〜40人削減し、スリム化したという。社員が200人ほどしかいない、全員が顔見知りのような中小ベンチャーで、特定部門の30〜40人を肩たたきして辞めてもらうというのは、かなりの力技だ。
急激に人が減っていくオフィスで、社員の間では「あすはわが身」「今回はたまたま逃れられただけで、いずれ自分の順番が来る」といった不穏な空気が漂っても不思議ではない。
しかし、ダイニーの業績は極めて好調だ。売り上げは前年の2倍となり、ダイニーのサービスを利用する店舗も急激に増加しているという。
ダイニーは、山田社長が東京大学在学中、飲食店のアルバイト経験やメルカリ、DeNAでのインターンをベースに、2018年6月に設立したITベンチャー企業。飲食店を支援するサービスに特化したシステムを提供している。
最近、飲食店に行くとスマートフォンでQRコードを読み取り、そこから注文するよう求められることがある。その際に、LINEで店の友達登録を求められるケースも少なくない。このLINE登録がダイニーの特徴の一つで、LINEで友達登録させることで、顧客データを取り、クーポン配布などの販売促進を行っているのだ。
筆者は9月25日、東京ビッグサイトで開催していた「FOOD STYLE JAPAN」に出展していたダイニーのブースにて、渦中の山田社長を直撃。レイオフの真相を聞いてみた。
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