スピードでは敵わなかった鉄路 45年で全通、43年で終着を迎えた三江線(1/2 ページ)
ちょうど50年前の昭和50年8月、島根県の江津駅と広島県の三次駅を結ぶ国鉄三江線が全線開通した。昭和5年に江津−川戸間が開業したのが最初。その後は江津からの三江北線、三次からの三江南線が線路を延ばし、最後に残った浜原−口羽間の開通で全線がつながった。
ちょうど50年前の昭和50年8月、島根県の江津駅と広島県の三次駅を結ぶ国鉄三江線が全線開通した。昭和5年に江津−川戸間が開業したのが最初。その後は江津からの三江北線、三次からの三江南線が線路を延ばし、最後に残った浜原−口羽間の開通で全線がつながった。全長は108.1キロ。ほぼ全線にわたって中国地方最大の河川、江の川に沿って走る非電化のローカル線だった。
地域住民の足、陰陽連絡のルートとして期待されたが、全通当時から乗客は少なかった。もちろん定期の優等列車の設定もなかったが、JR西日本に承継された後の63年、全線を直通する臨時快速が誕生した。
「交通公社の時刻表 1988年8月号」(現JTBパブリッシング刊)の三江線のページを開いてみよう。浜田−広島を結ぶ快速「江の川」がお盆の期間の8月11−18日に設定されている。山陰線の浜田を8時12分に出て江津から三江線に入り、主要駅のみに停車。三次からは急行になって芸備線で広島へ向かっている。到着は12時41分で所要時間は約4時間半だ。三江線内は2時間半で走破しており、3時間以上かかる普通列車との「格」の違いを見せている。
しかし、時刻表の長距離バスのページを見ると、浜田を「江の川」より遅い8時半に出て広島に11時18分に着く便がある。スピードではかなわなかった。利用状況は芳しくなかったのか、「江の川」の運転は平成6年で終了した。利用者減少の一途をたどった三江線は度重なる災害に見舞われながらも存続されたが、ついに廃線が決定。30年3月末、運転を終了した。昭和5年の最初の開業から全通まで45年かかった三江線は43年で歴史に幕を閉じた。
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