ニュース
スピードでは敵わなかった鉄路 45年で全通、43年で終着を迎えた三江線(2/2 ページ)
ちょうど50年前の昭和50年8月、島根県の江津駅と広島県の三次駅を結ぶ国鉄三江線が全線開通した。昭和5年に江津−川戸間が開業したのが最初。その後は江津からの三江北線、三次からの三江南線が線路を延ばし、最後に残った浜原−口羽間の開通で全線がつながった。
そんな「悲運」が心に響くのか、地域の人々が廃線跡を活用するケースは多い。サクラの名所で知られる尾関山公園(三次市)近くの旧尾関山駅では、専用フレームに固定した電動アシスト自転車をこいで廃線跡を進む「さくらサイクル」(3〜11月運行)が人気だ。トンネル内を走ったり、鉄橋の手前まで近づけたりと楽しさいっぱい。
トンネルの間の地上約20メートルにホームがあり「天空の駅」として親しまれている旧宇都井駅(島根県邑南町)でもトロッコの運行(3〜11月)や116段の階段を利用したそうめん流しなどのイベント開催で観光客を集めている。
JR三次駅の1番ホームには三江線の終点だったことを示す「108キロポスト」が設置されている。「さくらサイクル」のコース沿いには「106キロポスト」が残されている。レールは消えつつあるが、かつて全長100キロを超える鉄道路線が存在したことを物語っている。(鮫島敬三)
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
関連記事
次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?
西九州新幹線開業、北陸新幹線敦賀延伸の開業時期が近づいている。そこで今回は、新幹線基本計画路線の現在の動きをまとめてみた。新幹線の構想は各県にあるが、計画は「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」として告示されている。これと費用便益比、各地のロビー活動の現状などから、今後を占ってみたい。
利用されない指定席券売機 やっぱり「駅の窓口廃止」は間違っている
インターネット予約のおかげで、新幹線の移動はとても便利になった。交通系ICカードと予約情報をひも付ければきっぷは不要。しかし便利なのは移動が新幹線で完結する場合だけで、在来線を乗り継いだり、一筆書き経路では窓口がないとお手上げだ。ところがその窓口が激減している。
