コラム
なぜ、山手線には駅ナカ施設が少ないのか? 各駅を訪れて見えた、意外な戦略:鉄道の「雑学」(2/4 ページ)
多くの人々が利用する山手線。しかし、必ずしも駅ナカが充実していない駅も多い。それはなぜなのか?
地形や線路の関係で、駅ナカがないのは?
山手線の乗車人員上位15駅のうち、駅ナカ施設がない、または規模が小さい駅を実際に見て回った。候補として挙げたのは、乗車人員順に、新橋駅、高田馬場駅、大崎駅、浜松町駅、有楽町駅、そして田町駅だ。
駅ナカと呼べる規模の施設がない駅の筆頭は、高田馬場駅である。山手線内で乗車人員8位、全国でも有数の利用者数を誇るにもかかわらず、駅ナカ施設は見当たらない。早稲田口の改札内外に、カフェやカレー店などの小規模な店舗しかない。
高田馬場駅は築堤の上にホームが設けられており、ホーム下の多くは土のままになっている。そのため、高架駅のように空間を活用することができない構造になっている。また、早稲田口から戸山口方面にかけて傾斜が続き、駅周辺も限られたスペースしかない。戸山口改札は小規模で、改札を出るとすぐに小さなトンネル状の通路となる。
勾配のある地形と築堤構造が重なり、駅ナカ施設を設ける場所がほとんどない。こうした構造的な理由から、高田馬場駅には大型の駅ナカ施設が存在しないのだ。
浜松町駅は、駅そばなどの小規模な店舗がある程度で、駅ナカ施設はほとんど見られない。同駅の3階には駅そばやコンビニが入っているが、再開発工事の影響で高架下や周辺エリアの多くは活用できない状況にある。
田町駅も事情は似ている。ホームは地上にあり、南改札内に数店舗が入るのみだ。山手線や京浜東北線に加え、上野東京ラインや東海道新幹線の線路も並走しており、線路上空を使った施設整備も難しい構造となっている。
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