サラダ専門店が経営データ公開 「情報流出? いえ、意図的です」(1/3 ページ)
サラダ専門店「クリスプサラダワークス」を展開するCRISPが、売上高や顧客満足度などの経営データを公式Webサイトでリアルタイム公開している。狙いを宮野浩史社長に聞いた。
サラダ専門店「クリスプサラダワークス」を展開するCRISP(東京都港区)が、売上高や客数、アプリユーザーの離脱率、顧客満足度などのデータを公式Webサイトでリアルタイムに公開している。
例えば、9月の売上高は2.9億円、最も売り上げが好調だった店舗は渋谷スクランブルスクエア店、全店での注文単価は1848円、アルバイトの平均時給は1316円だった。
「ここまで経営データを公開して大丈夫なのか?」と心配になる人もいるかもしれない。狙いについて、CRISPの宮野浩史社長に話を聞いた。
経営データを“丸見え”公開
クリスプサラダワークスは、都心を中心に40店舗(2025年10月現在)を展開するカスタムサラダ専門店だ。1000〜2000円程度のサラダに、好みのトッピングを追加して注文できる。
経営データを公開する理由について宮野社長は、「外食業界全体を変えたいという思いがある」と話す。その原点は、2014年12月にオープンした1店舗目での経験だ。開店直後から客足は好調だったが、人気が出るほど行列が長くなり、提供時間が延びて顧客体験が損なわれた。「いい店を作っても、混雑で悪い店になってしまう」と感じたという。
米国の高校を卒業した宮野社長は、「海外と比べて、日本の飲食店の方が味も接客のサービスも優れているのに、経営的には苦しむ会社が多い」と振り返る。その要因の一つに「テクノロジー活用の差」があると考えた。
「テクノロジーさえ使いこなせれば、日本の外食業界はもっと魅力的で、世界でも戦えるような業界になる」と宮野社長は語る。機械にできることは機械に任せ、スタッフは顧客を笑顔にすることに集中する。そんなDXを軸とした経営で業界を変えたいという。
宮野社長は、「外食業界では、勘と経験が重視されがちです。私たちはデータトリブンな会社を目指した際、提供スピードやアプリの利用回数が業界的にどの水準なのか分からなかった。だから、私たちのデータを公開することで、今後の外食業界にDXのカルチャーが浸透して行く上で、参考にしてもらえればと思った」と話した。
データ公開のもう1つの狙いは採用だ。データ活用の実態をオープンにすることで、異業種の人材に「ここなら力を発揮できる」と感じてもらうきっかけにしたいという。実際にITや金融、コンサルなどからの転職も多く、本社では営業部門を除き、外食経験者はほとんどいないそうだ。
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