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脱「コンサル頼み」のDX 社員が自走する組織を作るには?AI・DX時代に“勝てる組織”(1/3 ページ)

あなたの会社のDXプロジェクトは「コンサル頼み」の状態に陥ってはいないでしょうか。近年、コンサルタントが社員の育成・リスキリングを直接サポートするサービスが注目されますが、不適切な手法では、むしろ組織の状態を悪化させかねません。社員が自走できる組織を作るために必要なことを解説します。

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連載:AI・DX時代に“勝てる組織”

AI時代、事業が変われば組織も変わる。新規事業創出に伴う人材再配置やスキルベース組織への転換、全社でのAI活用の浸透など、DX推進を成功に導くために、組織・人材戦略や仕組みづくりはますます重要になる。DX推進や組織変革を支援してきたGrowNexus小出翔氏が、変革を加速させるカギを探る。


そのDX、コンサルタントがいなくなったら止まっていませんか?

 多くの企業が経営の最重要課題としてDXを掲げています。しかし、その推進を担うデジタル人材の不足は深刻で、多くの企業が外部のコンサルティングファームや専門家の力を借りているのが実情でしょう。

 コンサルタントの知見を生かしてプロジェクトが前進するのは素晴らしいことです。しかし、プロジェクトが終了した途端、社内のDX推進の動きが鈍化、あるいは完全に停止してしまう──そんな「コンサル頼み」の状態に陥ってはいないでしょうか。

 高額な報酬を支払ったにもかかわらず、自社にはノウハウが蓄積されず、次のプロジェクトでもまた外部に依存せざるを得ない。この悪循環は、企業の持続的な成長を阻害する大きな要因です。

 この課題を解決するアプローチとして、近年「伴走支援」や「ペアワーク」といった、コンサルタントがクライアント社員の育成・リスキリングを直接サポートするサービスが注目を集めています。これは、実際のプロジェクトにコンサルタントが並走し、日々の業務を通じて実践的に次世代のDXリーダーを育てていくという手法です。

 しかし、実はこうした伴走支援を成功させるには、コンサルタント側に高度なスキルセットが要求されます。単に専門知識が豊富なだけでは不十分なのです。不適切な手法では、むしろ組織の状態を悪化させかねません。

 本稿では、伴走支援を成功に導くためのポイントや、失敗を招くコンサルタントの特徴、そして真に価値あるパートナーを見極めるための具体的な方法について、詳しく解説していきます。

難しい「伴走支援」 成功に必要な“3つのスキル”

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コンサルタントの「伴走支援」サービスを利用して失敗しないために(提供:ゲッティイメージズ)

 伴走支援が従来のコンサルティングと一線を画すのは、そのゴールが「プロジェクトの成功」だけでなく、「クライアント社員の自走化」にある点です。この二つの目標を同時に達成するため、コンサルタントは以下の3つのスキルを兼ね備えている必要があります。

  • 専門領域の知見
    • DX戦略、データ分析、アジャイル開発、各種デジタルツールなど
    • 対象領域における深い専門知識は、当然ながら必須の土台
  • コンサルティング力(問題解決力)
    • 目の前の課題を構造的に捉え、本質的な原因を特定し、実現可能な解決策を立案・実行する能力
    • 企業の文化や組織構造まで踏まえた、的確な判断力が求められる
  • 育成のための指導力(ティーチング&コーチング)
    • クライアント社員が自ら考え、行動できるようになるための能力
    • 知識を分かりやすく伝える「ティーチング」と、相手の中から答えを引き出す「コーチング」を、状況に応じて使い分ける高度なスキルが不可欠

 これら3つを高いレベルで兼ね備えた人材は、コンサルティング業界広しといえど、素晴らしいガイドは、ただ安全なルートを知っているだけでなく、登山者の体力やスキルレベルを見極め、適切なアドバイスを送り、時には励ましながら、自らの足で山頂に到達する達成感と成功体験を登山者にもたらします。

 知識の切り売りをするだけのコンサルタントは、登山者をヘリコプターで山頂に運ぶようなものです。景色は見えますが、登山者には何も残りません。

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