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ステーブルコインは不正にも使われやすい? “決済のデジタル化”に潜むリスク世界を読み解くニュース・サロン(3/3 ページ)

日本でステーブルコインの利用が始まったが、課題もある。決済などで使いやすいことから、海外では不正行為にも多く使われている。日本の制度が悪用されないようにするために、現状把握と対策が重要だ。

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暗号通貨や海外の決済アプリにはリスクも

 そもそも暗号通貨に限らず、デジタル化によって支払いの形態が変わりつつある中で、不穏な動きが顕在化している。例えば、海外の支払いアプリも同じようなリスクがある。

 特に問題視されているのは、中国のデジタル決済アプリだ。「WeChat Pay」や「Alipay」などの中国の決済アプリは、基本的に人民元でチャージして使うため、日本でアプリを使えば、人民元のまま買い物ができてしまう。そうなると、中国人コミュニティ内の中国人経営の店舗でデジタル決済によって支払いをすれば、日本当局は売り上げを把握しづらくなり、きちんと税徴収ができない場合もある。

 日本に暮らす中国人の中には、中国のアプリでほとんどを人民元で決済して生活する人もいる。中華系サービスが増えていることから、部屋を借りるのも買い物も、アプリだけで済ませられる。


海外の決済アプリなどもリスクがある(画像提供:ゲッティイメージズ)

 さらに、マネーロンダリングに使われる可能性もある。例えば、人民元でチャージした中国の決済アプリを使って、日本の店舗で多額の買い物をすれば、現金を洗浄することも可能だ。とにかく、世界の暗号通貨や決済アプリでは、表に出てこないカネの動きがあるということだ。

 暗号通貨や海外アプリには、まだ日本人が気付いていない課題がある。高市早苗政権が発足したばかりの日本では、物価高対策や経済成長、減税、さらに国家安全保障や外交など重要課題が山積しているが、日本の制度が犯罪に悪用されないためにも、きちんとした現状把握と対策が必要になるだろう。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)、『死体格差 異状死17万人の衝撃』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。

Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル


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