“ホースのない”布団乾燥機 累計3.7億円を売り上げたデザインの秘密:テストマーケティングから見るプロダクトの近未来(3/3 ページ)
大きくて使うのも面倒だった従来の布団乾燥機。そのデザインを大幅に変更したことで、大きな反響を呼んだ商品がある。ホースのない布団乾燥機は、いかにして誕生したのか?
「デザイン」の常識を疑うことがカギ
cadoはこれまで、「空気をデザインする」をコンセプトに、優れた空気清浄機を世に送り出してきました。そのノウハウを生かし、消臭やダニ対策、乾燥機能を備えつつ、ワンタッチで布団の中に温風を送れるようにしたのです。その結果、サイズもコンパクトで、温めたい時にすぐに使えるという“手軽さ”を実現し、ユーザーの行動ハードルを極限まで下げることに成功しました。
結果として、初回のMakuakeのプロジェクトでは、約1.5億円の応援購入総額、サポーター約7000人の実績を残し、市場に確かなニーズがあることを証明しました。その後も、さまざまなメディアで年間ヒット商品としてランクインするなど、市場に大きなインパクトを与えています。
応援購入した人のコメント欄にも「コンパクトでうれしい」「昔ながらの乾燥機を使っているが、使うのが面倒だったので、新しく購入を考えていた」などの声が多数寄せられました。ユーザーが感じていた「手間を省きたい」「手軽に使いたい」というニーズにしっかり応えられた、まさに狙い通りの反響といえるでしょう。
FOEHNの成功は、単に「優れた機能を持つ商品が売れた」という単純な話ではありません。私たちが無意識のうちに抱えている常識を疑うことの重要性を示しています。
生活の中で感じている不満から逆算し、「この商品のデザインは、本当に既存のものでなければならないのか」と疑うこと。そこに、次の市場を切り開くヒントが隠されているかもしれません。
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