GPT-5が大学院生なら、楽天のAIは高校生レベル? それでも挑む“日本語特化AI”の勝算(2/3 ページ)
楽天では約3万人の社員のほとんどが、社内向けAI「Rakuten AI for Rakutenians」を日々活用。非エンジニアも含め社員自らがつくったAIツールは、日報・月報の作成や営業の育成プログラム、翻訳や開発のテスト自動化プログラムなど、すでにその数は2万を超えている。
現場の隅々にまでAIが浸透している理由とは
では、楽天のAI-nizationは、どのように進められたのか。まずは、全ての楽天社員に提供される社内AIプラットフォーム「Rakuten AI for Rakutenians」を整備した。ここで驚くべきポイントは、その利用率の高さにある。
現在、「Rakuten AI for Rakutenians」を1日1回は使っている従業員が、1万5000人を超えている。さらに、このAIツールの中で作成されたカスタムAIの数は2万を超え、そのうち1万1500以上が複数人で共有されている。中でも、要件定義書の作成、プロトタイプの構築、テストケースの自動生成、コードメンテナンスの自動化といった一連のシステム開発工程において、AIが活用されている割合はすでに80%に達しているという。
楽天でAIを活用しているのは、プロダクト開発に携わるエンジニアだけではない。2024年5月に楽天グループ全従業員3万人に対して「Rakuten AI for Rakutenians」の提供を開始して以来、利用率は延べ90%以上。2025年9月時点で、特にユーザー数が多いカスタムAIのランキングを見てみると、上から順に、「楽天モバイルサービス販促サポート」「目的設定アシスタント」「スライド作成支援」「翻訳支援(日本語→英語)」「会議議事録作成支援」が並ぶ。
とはいえ、ただAIツールを用意しただけで、これほど急速にAIが業務に浸透したわけではない。AI活用を推進する立場として、大越氏は制度設計やトレーニング、ルールづくりに注力したが、最も大きな原動力となったのは、現場の力だったという。
「突然、部内でAI活用のアイデアを募る『AIコンテスト』を始めた部署があったり、先輩が行っていたトレーニングを全てAIに置き換えた営業部隊があったり。各組織がAI活用に対して前向きに取り組んでくれたのが大きな力となった」(大越氏)
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