“MATCHA戦争”勃発 世界を席巻する「緑の商戦」の裏側:スピン経済の歩き方(7/8 ページ)
世界で激しい抹茶争奪戦が繰り広げられている中、「抹茶の原産国」をかけた日中の戦いも激化している。日本国内にも進出している「中国産抹茶」に対し、宇治抹茶のような日本ブランドはどう立ち向かっていくべきか。
抹茶に対する国の基本方針
農林水産省「茶業およびお茶の文化に係る現状と課題」(2024年11月)には、茶業の抱える課題を解決するため、以下のような基本方針が挙げられている。
- 有機栽培茶・てん茶への転換および輸出の促進
- 基盤整備・改植およびスマート農業技術等の開発・導入による生産性向上
世界的な抹茶ブームに対応して、これまで緑茶をつくっている農家も、てん茶生産へと移行していく。そしてまさに今、中国の「抹茶の都」がやっているように、国・自治体・民間が協力して「輸出」に力を入れるべきだというのだ。
当然そのためにはこれまで以上に、生産量アップを目指していかなければいけない。手作業が多い茶葉栽培の中でも、できる限り機械化を進めて、スマート化を進めていかなくてはならないが、それを進めるために必要な取り組みについても、ちゃんと指摘している。
「地域計画を活用した担い手への集積・集約化を進める必要」
これは全ての農作物にいえるが、家族経営の小さな農家では設備投資に限界がある。人員を雇う場合も、アルバイト程度の人員や外国人技能実習生では、生産量は大幅に増えない。なので機械化やスマート化を進めるには、高齢化して離農した人の農地を集約して、大きな農業法人へと変えていくなどの「規模拡大」が必要不可欠なのだ。
それは世界の農業では常識だ。農家は規模拡大して生産量を増やして、輸出を目指していく。中国が抹茶生産力を向上して、世界各国へと輸出していることをわれわれは「脅威」と捉えているが、農業を持続させるためには当たり前の方法で、どの国でもやっていることなのだ。
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