なぜデキる部下は潰れるのか? 働き方改革でも止められない「自己追い込み」のワナ:デキる上司がデキる部下を潰す(3/4 ページ)
デキる部下ほど自らを追い込み、心身を壊すケースが後を絶たない。働き方改革やハラスメント対策では防げず、上司の適切な距離感や休息指導が成長と健康の両立には不可欠である。
仕事がデキる上司がやりがちなこと
私自身も、会社員時代は部下を指導することが得意か苦手かといったら苦手な部類でした。20代はとても忙しい職場で働いていましたので、上司はいましたが組織図上の話であり、上司も含め全員がプレイングマネージャーの状態でした。
そのため「自分のことは自ら考えて行動し、日々解決する」という環境であったため、最初は全くついていけませんでしたが、人間とは慣れていくもので、次第にその環境に適応していきました。
その後年数が経ち転職をし、30代となり今度は部下を持つ立場になりましたが、その際に「前職での自分のような働き方を部下たちもしてくれないと、成果が出ない、成長しない」と思い込んでいました。私のマネジメントのやり方に異を唱える部下と衝突することもありましたし、「ついて行きたいのですが、求める理想が高すぎて自分にはこれ以上は無理です」と退職していく人もいました。
何より一番ショックだったのは、私の立場すら気遣い頑張ってくれていた社員たちの離脱でした。今でも後悔していますが、私は彼ら自身が仕事や人間関係で大変なときに「自分も同じような経験をして乗り越えてきたから、あなたたちも乗り越えられるよ」「これから君たちがリーダーになっていくのだからもっと強くなって欲しい」と疑いもなく指導していました。
しかし途中からその部下たちの様子がおかしいと思い始め「無理しなくていいよ」と指導を変えたのですが既にその時は後の祭りでした。「期待に応えられなくてすみません」と、皆、自主退職をしてしまいました。本来は、普段弱音を吐かない部下が大変なときは、寄り添って彼らの重荷を背負うべきだったのに、乗り越えられるはずだよ、と突き放してしまった結果だと思っています。
その後悔から、「自分のような忍耐力を他人に求めてはいけなかった」「また同じように部下が潰れてしまうのではないか、部下を壊してしまうのではないか」と思い、部下を指導すること自体が自分には向いていない、と当時は思い込んでしまいました。
ある元トップアスリートの方が、「自分は指導者には向いていません」とおっしゃっていて、その理由をインタビューで語っていました。「以前お願いをされて臨時コーチとして選手に教えていたときに、なかなか伝えたことを習得できない子がいました。
その時に私はつい『どうしてこんなに簡単なことがこの子はできないんだろう。私なら少しコツを教えてもらえば感覚的にパッとできてしまうのに』と思ってしまったのです。だから私は指導者には向いていないと思いました」ということでした。
きっとこの方は、もし自分が本格的な指導者として活動を始めたら「どうしてこんなに簡単なことができないの!」と怒りに任せて相手を責めてしまうかもしれない自分の姿を想像してしまったのかもしれません。
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