「日中関係の悪化」で仕事はどうなる? 900万人が不安を感じる“もしも”の話:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
高市首相と中国政府の間で、引くに引けない「謝ったら負けレース」が繰り広げられている。もし日中関係が今後さらに悪化した場合、日本のビジネスへの影響は――。
自動車・ハイテク業界、医療への悪影響
まず、ネットやSNSで懸念されているのは自動車・ハイテク業界への悪影響だ。電気自動車やスマートフォンに欠かせない希少資源・レアアースを現在、中国が「戦略資源」として外交カードに使っているからだ。
もしこのまま日中の対立が激化すれば、中国側がレアアースの対日輸出規制を強める可能性もある。実際、2010年に中国漁船が尖閣諸島沖で海上保安庁と「衝突」する問題が起きた際には、レアアースの実質的な輸出停止に踏み切って「レアアースショック」を起こしている。
もしそれが再び起きれば、自動車メーカーなど多くの製造業が「生産停止」に追い込まれ、その影響は下請け企業や取引先にも及ぶ。既に2025年4月の輸出規制によって供給が不安定になり、製造業が大混乱している。
2010年からだいぶ改善されたとはいえ、今も日本のレアアース輸入量8335トンのうち、62.9%を中国が占めている(貿易統計2024年)。
ちなみに、「レアアースなら日本の海域にすごい量が埋まっているだろ」と思うかもしれないが、あれは2026年1月にようやく試験採掘が始まるので、実用化はまだまだ先の話だ。
もうひとつ心配されるのは医療への悪影響だ。実は日本の医療機関で外科手術などに使われる「抗菌薬」の原料は、ほぼ100%中国に依存している。日中関係の緊張が高まる中、何らかの不測の事態で原料が安定供給されなくなれば、適切な治療や手術ができないという事態も起こり得る。
こちらも現在、政府が抗菌薬を「特定重要物資」に指定して、国内製薬企業が国産化を目指しているのだが、まだ動き出したばかりだ。
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