3500万人が使う「モバイルSuica・PASMO」にバーコード決済導入 複雑化するキャッシュレスに一手(1/2 ページ)
JR東日本は、2026年秋にモバイルSuicaへコード決済「teppay」を導入し、2027年春にはモバイルPASMOにも展開すると発表した。両サービス間の相互送金など利便性向上を図る。
JR東日本は11月25日、コード決済サービス「teppay(テッペイ)」をモバイルSuicaアプリで2026年秋から提供すると発表した。2027年春には交通系IC「PASMO」を提供するパスモ(東京都新宿区)と連携し、モバイルPASMOでも利用できるようにする。
teppayはコード決済や残高の送付、オンライン決済などに対応するほか、地域限定で使える残高「地域限定バリュー」を搭載する。地域限定バリューは、自治体のプレミアム商品券やキャッシュレス還元事業などでの活用を想定する。
モバイルSuicaやモバイルPASMOのアプリ内でteppayを利用できるため、新たなアプリをダウンロードしたり登録したりする必要はない。
teppay導入の背景には、キャッシュレスサービスの多様化による利用者の“疲れ”があるという。JR東日本が実施した調査では「キャッシュレスの多様化・複雑化に何らかの疲れやストレスを感じている」と回答した人は89.1%に上った。一方、キャッシュレスを初めて利用したサービスとして「Suica/PASMO」を挙げた人は52.4%で、特に30代以下では71.4%だった。
JR東日本の中川晴美常務取締役は「キャッシュレス疲れやキャッシュレスに踏み出せないといったお客さまの困りごとに対して、SuicaやPASMOが『なじみ』『安心』『信頼』を感じられるサービスとして解決を図っていきたい」と話した。
teppayへの入金は銀行口座やATM、JR東日本グループが発行する「ビューカード」で可能だ。また、teppayとビューカードを連携することで、teppay残高にチャージせずに決済もできる。teppay残高から交通系ICのモバイルSuica/PASMOへの入金は可能だが、交通系ICからteppay側へチャージすることはできない。
teppay導入後は、従来の交通系ICの2万円の残高上限を超え、最大30万円まで利用できるようになる。決済額に応じて「teppayポイント」も付与する。さらに、アプリ内のバーチャルプリペイドカード「teppay JCB プリカ」を発行すると、インターネット上での支払いやタクシー、飲食店でのモバイルオーダーなどでも使える。
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