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学校にスーパーの「無人店舗」オープン もともと軽食自販機はあったのに、なぜ?

スーパーマーケット「ベルク」の無人店舗が、大妻中野中学校・高等学校でオープンする。もともと弁当やおにぎりなどの軽食用の自販機はあったが、なぜ無人スーパーが校内に誕生するのか?

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 埼玉・群馬を中心に関東でスーパーマーケットを展開するベルク(埼玉県鶴ヶ島市)は11月26日、大妻中野中学校・高等学校(東京都中野区)内に無人店舗「Belc Go!大妻中野店」をオープンする。


大妻中野中学校・高等学校に「Belc Go!大妻中野店」がオープンする。現在はプレオープン期間中

 同店の特徴は「商品スキャンが不要」な点だ。店内の棚ごとに設置された7つのカメラが利用者の体の大きさや輪郭と商品をひも付けて、「どの人が何を買っているか」をリアルタイムで把握している。

 そのため、レジでわざわざ商品を読み取る必要がなく、購入商品に間違いがないかを確認してスムーズに会計に進める。もちろん、商品がひも付けられていなかったり、誤って登録されていたりする場合には手動で修正可能だ。


商品スキャンは不要だが、間違いがあれば手動で商品をスキャンする

 レジの操作に困った際は、レジ上に設置されているカメラに向かって話しかければコールセンターにつながるため、売り場に人を配置する必要もなく人件費も削減できる。

 決済方法はSuicaなどの交通系ICカードに限定した。ベルクの担当者は決済方法について「現金は回収コストが発生するのに加え、学校側から回転率を上げたいという話があったため外しました」と説明する。大妻中野中学校・高等学校の担当者は「学校にいる間はスマホの電源は切るルールのため、交通系ICカードでの決済が親和性が高いと感じました」と補足した。


決済方法は交通系ICに限定した

生徒の昼ごはんはたった2台の軽食用自販機が回す

 もともと大妻中野中学校・高等学校では食堂を保有しておらず、代わりに弁当やパン、おにぎりなどを販売する軽食用の自動販売機を2台と飲料用を3台設置していた。しかし、自販機では商品の購入時に待機時間が発生するうえ、決済方法も現金のみだったため回転率が低く、行列が常態化していた。

 2025年1月に、無人店舗の決済システムを提供するTOUCH TO GO(東京都港区)の紹介でベルクとマッチングし、自販機の跡地にBelc Go!大妻中野店のオープンが決まった。営業時間は午前6時〜午後6時で、同店で販売する商品は「ベルク 練馬高松店」から1日に1回運び、陳列する。

 販売する商品は弁当やサラダ、スイーツなど200〜230種類。プレオープンから数日たった現在、生徒からは弁当系よりもシュークリームやプリンといったスイーツ系が好まれていることが分かってきた。商品の選定はベルク側で実施したが、今後は売れ行きや学校側の意見を踏まえながら調整していくとしている。


おにぎりや弁当などを用意

和菓子やパンも販売する

 販売価格は練馬高松店と同一にした。「高く設定することもできますが、そうするとコンビニ価格に寄ってしまいます。利用者も学生が中心ですし、スーパー価格で利用してほしいと思っています」(ベルク担当者)。

 ベルクが東京都中野区に出店するのは今回が初めてとなる。また、無人店舗という業態での出店も初めてだという。既存店舗の客層と大きく異なるが、女子中学生や女子高校生は世の中のトレンドを生み出す存在でもある。ここで取得した購買データを、今後の商品開発などに生かしていく考えだ。

 学校に無人店舗を導入する動きは珍しいが、今回の取り組みが成功すれば、学校やオフィスなど「手薄だった空白地帯」への小規模出店が広がっていく可能性もある。


人気のスイーツ。すでに売り切れているものも見られる

もちろん飲料も提供する。こちらも人気の商品は売り切れている

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