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「落とし物DX」で売上15億円 競合だったJR東日本も導入した「find」はどんなサービスなのか(1/3 ページ)

落とし物は誰にとっても身近なトラブルだが、その回収はアナログで非効率なままだった。そんな市場を15億円規模に成長させた「find」とはどんなサービスなのかというと……。

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 「落とし物」は誰にとっても身近なトラブルだ。にもかかわらず、落とし物を探して回収する作業はいまもアナログで、非効率なままだ。警視庁によると、2024年に東京都内で届けられた落とし物件数は約440万件で、過去最高に上る。

 困っているのは落とし主だけでない。交通機関や宿泊・商業施設などには毎日落とし物が届けられる。中でも鉄道会社には膨大な数の落とし物が届く。


京王電鉄が管理していた落とし物。傘が多くみられる(画像:find提供)

 京王電鉄は、落とし物に関して1日500件前後の電話問い合わせを受けていた。それに10〜14人体制で対応していくのだが、利用していた落とし物管理システムはテキスト情報しか登録できない仕様だったため、1件の対応に約8分かかっていた。

 しかし、8分かかった後に確実に見つかるわけでもなく、落とし物と落とし主が合致するマッチング率は8%程度だったという。

 そんな課題を抱えつつ運用を続ける中で、落とし物クラウドサービス「find」と出合う。findは、駅係員などが落とし物をスマートフォンで撮影し登録する「find scan」、落とし物情報を一元管理する「find search」、落とし主がLINEで問い合わせできる「find chat」を提供している。

 駅員などが落とし物をスマホで撮影し、findに登録する。落とし主はLINE経由で落とし物を問い合わせる。問い合わせの内容と登録された落とし物をAIが自動照合する仕組みだ。


findの仕組み(画像:find提供)

 2023年2月から3カ月の実証実験を実施したところ、1件当たり8分ほどかかっていた対応時間は約2分に短縮され、電話での問い合わせ件数も3割ほど減少。もともと8%程度だったマッチング率は32%と、約4倍に向上した。

 findの取締役COOの和田龍氏は、findの強みについて「当時は『画像登録』『LINE問い合わせ』『画像検索』がサービスの3本柱でした。既存のシステムはテキスト検索のみなので落とし物の照合が難しかったのですが、画像登録によって照合率が上がりました」と話す。


find serachのデモ画面。画像登録や特徴を記録できることで照合率向上につながった(画像:find提供)

 画像検索に加え、チャットでの問い合わせによってこれまでマッチングが難しかった落とし物の照合率も上がったという。例えば、ワイヤレスイヤホンのAirPodsなどがそうだ。デコレーションなどを施していない限り特徴がなく、落とし主の物だと証明するのが難しかった。

 「もしiPhoneを使っている人がAirPodsを落とした場合、iPhoneの設定からAirPodsのシリアルナンバーを確認できます。そのシリアルナンバーをfind chat経由で送ってもらうだけで、落とし物とマッチングできるようになりました」(和田氏)

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