20年以上の経験がある採用面接官が指摘 「意味のない質問」とは?(1/2 ページ)
面接官は面接で応募者の「何」を見ているのか? 20年以上のキャリアを持つ面接官が指摘する「意味のない質問」とは?
売り手市場が加速する中で、企業は「人を見抜く力」だけでなく「選ばれる力」も求められるようになっている。今回は、総合コンサルファームのTOMAコンサルタンツグループで人材・組織開発支援サービス部門を統括し、20年以上にわたり現場で面接を重ねてきた、陣内正吾さんに「優秀な人材を採用するための面接術」とその背景にある思考を聞いた。
――優秀な人材を採用するために、面接で意識していることはありますか?
はい。まず大前提として、履歴書や職務経歴書だけでその人の良し悪しを判断しすぎないことを心がけています。特に中小企業では応募数自体が限られており、ようやく出会えた方の中から、いかにその人の「活躍できる可能性」を見いだせるかが重要です。
そのために私は、面接では「人間性」に焦点を当てます。例えば、いきなり本題に入るのではなく、共通点を探すようなアイスブレークを意識します。出身地や趣味、スポーツなど、少しでも共通の話題があるとお互いの距離が縮まりやすい。応募者の素の状態に近い姿を引き出すには、そうした「共感ベースのコミュニケーション」が欠かせません。
――履歴書や経歴だけでは分からないことも多いということですね。
まさにその通りです。特に経歴が華やかな人ほど「この人は仕事ができるだろう」という先入観を持ってしまいやすい。しかし、過去にはそれで失敗した経験もあります。
以前、業界の有名企業で10年以上勤務した管理職経験者を採用したのですが、実際には現場での実務スキルに大きなギャップがあったのです。それ以来、私は「肩書き」ではなく「中身」を重視しています。
例えば「このプロジェクトはどのような手順で進めましたか?」「その時、自分でどのような判断をしましたか?」など、業務の質や主体性を深掘りするようにしています。
――入社後のミスマッチを減らすために、面接時に行っている工夫はありますか?
はい。面接の中で、実際の仕事内容や職場の雰囲気をなるべく具体的に伝えるようにしています。「当社のこの業務ではこんな進め方をしていますが、それに近い経験はありますか?」といった、すり合わせを意識しています。
一方で、会社にとって面接は応募者を「選ぶ場」であると同時に「選ばれる場」でもあります。ですから、仕事内容の魅力やキャリア成長の可能性、将来的なビジョンとの親和性などをしっかり伝えることで、「この会社で働きたい」と思ってもらえるよう努めています。
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