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AI導入のカギは「行動変容」 ソニーグループが実践した、“現場が使いたくなる仕組み”とは?AI時代の「企業変革」最前線(3/5 ページ)

ソニーグループは2023年から全社員の生成AI活用を推進し、わずか2年で5.7万人が日常業務で使う体制を整えた。同社では、日々15万件の推論が実行されている。

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わずか2年で5万人のアクティブユーザー スピーディーに浸透したワケ

中出: 全社員がAIを使用するフェーズにおいて社員内での温度差があるのかどうかが気になります。

大場: テクノロジーを重視する会社ということもあり、Enterprise LLMは当初から順調に展開していました。その上で、ソニーグループ内での認知が高まるにつれて、ビジネスサイドから協業やAI活用支援に対する要望が高まり、さらに展開が加速しました。

 AIの使用者数やユースケースの増加に伴いコミュニティも大きくなり、多くの社員がインフルエンサーとしてその効果を伝達してくれました。日々活性度が高まり続け、それに伴ってAI成熟度も高まってきました。

 結果として、Enterprise LLMを支えるプラットフォームだけで日々15万件の推論が実行され、まだ伸び続けています。ソニーグループでは他社製のAIツールも活用しているので、相当数のAIが日々実践されている状況です。

 もちろん、過渡期においてはAIに対する温度差はありましたが、幸いにも大きな課題や苦労があったわけではなく、チームの頑張りもあって着実にAI民主化が浸透しました。

 AIの進化は激しく、日々実践し学び続けることも重要です。この共通意識をグループ内である程度持てていたのも大きいと思います。

中出: そうなのですね。最初から「目標は◯万回利用」と指標を立て、効果が出てから始めたのでしょうか?

大場: 経営陣の生成AIに対する理解もあり、比較的自由にプラットフォームの拡張や啓発活動が実行できました。未知のチャレンジということもあり、OKR(Objectives and Key Results、目標を明確に定め、その達成度を測定するための目標管理フレームワーク)による管理手法を取り、当初から「全社員をAIの良き使い手にする」をObjectivesとして活動しています。

 最も重要なのは数値目標ではなく、“AIをどう使うか”という行動変容そのものです。AIのビジネスインパクトを考えれば、AI活用を迅速にスケールさせるため高い目標を設定する必要があると考えたためです。

 Enterprise LLMについては、誰もがAIを実践できる場として3年で全グループ会社への展開、5万人のアクティブユーザーを目標に据えていました。結果として、2年を待たずに達成しました。

sony
テックタッチ取締役 CPO/CFOの中出昌哉(提供:テックタッチ)

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