コラム
「ボケ! お前、アホか」 伊澤タオル、交野市役所の“衝撃パワハラ事件”から学ぶべき教訓(2/5 ページ)
コンプライアンスの違反事例の中でも、多いのがパワーハラスメントだ。直近でも、東証スタンダードへ上場した伊澤タオルや、はたまた交野市役所という公共の職場でも衝撃の事例が明らかになった。
パワハラの定義と照らし合わせると……
報告書ではこれらの発言の他にも、社長が叱責とともにイスを蹴り、それが社員を直撃したという記述がありました。また、成績の上がらない社員に対して給与やボーナスの返金を求める発言や、本人の人格を否定するような表現での叱責が頻繁にあった、ともされています。
伊澤社長は当初、週刊文春の取材に対して「当然、こちらとしてはそういう意識はないんですけども。昨今の報道を聞いていると、やっぱりもう受ける方の感じ方って言いますよね」と、あくまで認識の違いであるかのように答えていました。
しかし今回の報告書では、厚労省の「パワハラの認定基準」に照らして、伊澤社長の言動についてのパワハラ認定根拠を明確にしている点が注目に値します。「パワハラ認定基準」では、次の3つの全てを満たすとき、パワハラと認定されると定義しています。
(1)優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
(2)業務の適正な範囲を超えて行われること
(3)身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、就業環境を害すること
伊澤社長のケースを検証してみると、弁明の余地なくパワハラに該当していることがよく分かります。報告書では報道に取り上げられたもの、社員がヒアリング調査およびアンケート調査で語られたものを含め、より多くのケースが取り上げられています。報告書は、伊澤社長の言動を厳しく断罪しているのです。
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