鉄道で進む、クレカの「タッチ決済」 実は江ノ電が首都圏では初、どう広まっていったのか?(1/3 ページ)
最近、クレジットカードの「タッチ決済」で乗車できる路線が増えてきた。国内で初めて導入したのは関西の南海電気鉄道なのだが、どのように広がっていったのか?
キャッシュレス社会が当たり前となり、今やクレジットカードのタッチ決済も広く生活の中に浸透している。これは、鉄道の世界でも例外ではない。自動改札機にタッチ決済専用の読み取り部分が設置されている風景は、首都圏や関西の私鉄駅ではおなじみとなりつつある。
現在、すでにタッチ決済を導入済みの鉄道会社においては、基本的にその会社の路線内でしか使えないという不便な点があった。こうした不便さを解消すべく、関東の鉄道事業者11社局(小田急、小田急箱根、京王、京急、相鉄、西武、東急、東京メトロ、都営地下鉄、東武、横浜高速鉄道)は10月29日、タッチ決済による相互に乗り継ぎ利用を可能とする共同事業協定を締結。2026年春以降のサービス開始を目指している。
この協定により、今後は交通系ICカードと同様の使い方が可能になる。例えば東急東横線の横浜駅からタッチ決済で乗車し、改札口を出ずに東京メトロ副都心線に直通して、西武池袋線の所沢駅でスムーズに下車できるようになるのだ。相互直通運転が多い首都圏では、このサービスを享受できると、利用客の利便性は大きく向上すると思われる。
これに対し、JR東日本の喜勢陽一社長は11月12日に「タッチ決済の相互利用には参加しない」旨を表明しており、あくまでSuicaによる決済サービスの拡大を目指している。
確かに現在の運賃決済手段の主流は、全国共通交通系ICカードだ。今や大都市圏では普及し切っており、代表格のSuicaは発行枚数が約1億1000万枚に達している(PDF)。11月25日には、モバイルSuica、モバイルPASMOに付加する新たなコード決済サービス「teppay(テッペイ)」を、2026年秋より提供開始すると発表。モバイルSuicaとPASMOにコード決済機能を付加した。
首都圏という巨大マーケットを抱えているJR東らしい判断だが、他の鉄道エリアとのシナジーを生むことは考慮していないのだろうか。あくまで沿線住民の生活に密着するというのなら理解はできる決断だ。
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