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鉄道で進む、クレカの「タッチ決済」 実は江ノ電が首都圏では初、どう広まっていったのか?(3/3 ページ)

最近、クレジットカードの「タッチ決済」で乗車できる路線が増えてきた。国内で初めて導入したのは関西の南海電気鉄道なのだが、どのように広がっていったのか?

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クレカの特徴を生かしたサービスも誕生

 その他、タッチ決済導入に積極的な鉄道会社として、2023年3月に全路線全駅で利用可能とした福岡市地下鉄や、2024年5月に首都圏の大手私鉄として初めて導入した東急電鉄が挙げられる。

 こうした会社が普及の先がけとなっているわけだが、相互利用だけではなく、タッチ決済の特徴を生かした別の動きを見せている鉄道会社もある。

 福岡市地下鉄は2023年7月7日より、同じ日に同じカードで利用したタッチ決済の総額が640円を上回った場合、クレジットカードへの請求額を640円とするサービスを始めた。この金額は、同地下鉄の一日乗車券の値段と同額。つまりは、手持ちのクレジットカードを割引乗車券の一つとして使えるのだ。


タッチ決済総額が640円になる仕組み(画像:福岡市地下鉄 公式Webサイトより)

 南海でも2025年12月1日より、タッチ決済における請求額の上限を2200円とする、同種のサービスを開始する。大阪・関西万博の期間中に発売されていた同社の一日乗車券は2500円であったため、タッチ決済の利用促進を図ったとも考えられる。

 鉄道利用におけるタッチ決済を普及させるためには、このような「単に乗って降りられる」だけではない、新しいサービスによる利用促進施策が求められるだろう。加えて座席指定を伴う特急料金など、運賃以外の料金を収受するケースでも対応の余地がある。

 鉄道各社にとってはシステムを整備するだけではなく、クレジットカード利用ならではのアイデアも求められるところだ。


右の青い機械が、江ノ電が各駅に設置したクレジットカード読み取り装置(画像:筆者撮影)

著者紹介:土屋武之(つちや・たけゆき)

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1965年、大阪府豊中市生まれ。鉄道ライター。鉄道系WEB雑誌『T's Express』編集長。幼少時より鉄道に興味を抱く。大阪大学では演劇学を専攻し劇作家・評論家の山崎正和氏に師事。芸術や評論を学ぶ。出版社勤務を経て1997年にフリーライターとして独立。2004年頃から鉄道を専門とするようになり、社会派鉄道雑誌『鉄道ジャーナル』のメイン記事を毎号担当するなど、社会の公器としての鉄道を幅広く見つめ続けている。主な著書は『鉄路の行間』(幻戯書房)、『新きっぷのルール ハンドブック』(実業之日本社)など。


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