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トライアルGO、都内初出店 コンビニではない“真の競争相手”とは:小売・流通アナリストの視点(2/5 ページ)
トライアルGOが都内に初出店した。イオンのまいばすと似た形態で、「コンビニのライバル」とも報じられた。ただ、こうした小型スーパーの出店で困るのは、実はコンビニではなく、全く別の企業なのである……。
地方を中心に店舗を拡大してきたトライアル
トライアルHDを知るには、その事業計画に関する資料を見るのが良いだろう。
図表1は、トライアルHDの店舗展開と、西友買収後の小売業界における位置付けに関する同社資料の抜粋だ。トライアルは、九州や北海道など、地方の主要幹線道路沿いを中心に、食品や生活雑貨、衣料品などの生活必需品を低価格で提供する大型店スーパーセンターを展開。売上7000億円以上にまで成長した企業だ。
こう表現すると、イオンやイトーヨーカ堂などの総合スーパーとの違いが分かりづらいかもしれない。一言で言えば、DIYや園芸などを除くホームセンターと、食品スーパーを合わせたような品ぞろえで、生活必需品が集まる店だ。手頃な価格の商品が豊富なディスカウントストアであるため、消費者から支持され、着実に成長してきた。
ただ、この品ぞろえを担保するには、ホームセンターのような4000〜5000平方メートルほどの売場面積が必要となるため、都市部ではなかなか出店できないという課題があった。
特に首都圏となると、薄利多売で採算がとれるレベルの、賃料が安くて広い出店場所が少ない。そのため、これまでトライアルの店舗は少なかった。
そこで、首都圏を中心に、売上5000億円弱の店舗網を持つ西友を買収し、その存在感を一気に拡大させたのである。そして業界内での位置付けも、売上単純合算で1.2兆円、小売業界6位へと浮上した。
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